
鬼門を理解し、家づくりに活かす
家づくりや模様替えをするとき、「鬼門」という言葉を耳にすることがあります。古くから伝わる陰陽道において、鬼門とは鬼が出入りする方角とされ、北東を指します。反対に南西は裏鬼門と呼ばれ、こちらも同様に注意が必要とされています。これらの場所は、家の中に悪い気が入り込む入り口と考えられてきました。
鬼門に水場、たとえば台所やお手洗い、お風呂などを配置すると、家全体の気が乱れ、住む人の健康運や金運に悪影響を及ぼすと信じられてきました。また、玄関を鬼門に設けることも避けられてきました。玄関は人や物の出入り口であると同時に、家の顔とも言える大切な場所です。そのため、鬼門に玄関があると、悪い気が家の中に入り込みやすく、家全体に悪影響を与えると言われてきました。
鬼門の不吉な影響を和らげるためには、昔から様々な工夫が凝らされてきました。例えば、鬼門の方角を常に清潔に保つこと。また、盛り塩や柊鰯などの魔除けを置くことも効果的だと考えられています。柊鰯は、焼いた鰯の頭と柊の枝を組み合わせたもので、鬼門に飾ることで、邪気を払い、家を守ると信じられてきました。
現代の住宅事情では、土地の形状や周辺環境などによって、鬼門を完全に避けて家を建てることが難しい場合もあります。しかし、鬼門の方角を意識し、清浄を保つ、魔除けを置くなどの対策を講じることで、安心して暮らせる家づくりが可能になります。鬼門は迷信として片付けるのではなく、快適な住まいづくりのための知恵として、古人の考え方を参考にすると良いでしょう。