コルクガシ

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建材

環境に優しいコルクの魅力

コルクは、主に地中海沿岸地域で育つコルクガシという木の樹皮から得られる自然素材です。このコルクガシは、日本で見かける一般的なカシの木とは異なり、厚みのある独特の樹皮を持っています。この樹皮こそが、私たちが普段「コルク」と呼んでいる素材の原料なのです。 コルクガシの樹皮は、非常に特殊な細胞構造をしています。顕微鏡で覗くと、無数の小さな部屋のようなものが蜂の巣のように密集しているのが分かります。この一つ一つの部屋には空気が閉じ込められており、これがコルクの優れた特性を生み出す秘密です。 空気をたっぷり含んだ構造のおかげで、コルクは驚くほど軽く、しかも弾力性に富んでいます。指で押すと簡単にへこみますが、力を抜けばすぐに元に戻ります。この弾力性のおかげで、衝撃を吸収するクッション材としても優れています。また、ぎゅっと詰まった空気の層は、水や熱を通しにくいという性質も持っています。そのため、断熱材や遮音材としても利用されることがあります。 コルクの最も素晴らしい点は、環境に優しい素材であるということです。コルクガシは、樹皮を剥がれても枯れることがありません。約9年ごとに樹皮は再生し、再び採取することができます。つまり、木を伐採することなく、繰り返し資源を得ることができるのです。これは、持続可能な社会の実現にとって非常に重要な要素です。 コルクの用途は、ワインの瓶の栓として広く知られていますが、それだけにとどまりません。その優れた特性を生かして、建物の壁材や床材、家具、バッグ、靴の中敷きなど、様々な製品に使われています。古くから人々の生活に役立ってきた、自然の恵みと言えるでしょう。