はっかけ

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工法

はっかけ:洗練された空間の演出

はっかけは、日本の伝統的な建築技法の一つで、柱や窓枠といった建物の骨組みを構成する部材の厚みを見えにくくする仕上げ方法です。正面から見ると、まるで柱や枠が線のように細く見えるため、空間全体にすっきりとした洗練された印象を与えます。 具体的には、まず部材の表面を薄く削り取っていきます。この時、ただ削るだけでなく、どの程度の深さで削るかによって仕上がりの印象が大きく変わるため、職人の経験と技術が問われます。次に、削った部分に漆喰などを丁寧に塗り込んでいきます。この漆喰の塗り方によっても、仕上がりの風合いが微妙に変化します。滑らかに塗ることで落ち着いた雰囲気を、少し凹凸をつけることで力強い印象を与えるなど、職人の繊細な技が光る工程です。 このはっかけという技法は、主に茶室などに使われる数寄屋建築で用いられてきました。数寄屋建築の特徴である簡素で洗練された雰囲気をさらに際立たせる効果があります。近年では、現代的な建物にも取り入れられるようになってきており、そのすっきりとした美しさが見直されています。和風の住宅だけでなく、現代的なデザインの住宅や店舗などにも、アクセントとして取り入れることで、空間に奥行きと上品さを加えることができます。 はっかけは、単なる表面的な装飾技法ではなく、空間全体の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。削り方や漆喰の塗り方によって、様々な表情を生み出すことができるため、職人の技術とセンスが問われる、非常に繊細な作業と言えるでしょう。建物のデザインに合わせて、はっかけを取り入れることで、より洗練された空間を演出することが可能になります。