のろ

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建材

左官材「のろ」:用途と魅力

「のろ」とは、石灰や漆喰、セメントなどを水で練り混ぜてペースト状にした建築材料のことです。餅のように粘りがあることから、「練る」が変化して「のろ」と呼ばれるようになったと言われています。古くから日本の建築現場で活躍し、壁や天井の仕上げや、ひび割れなどの修繕にも幅広く使われてきました。 「のろ」には、材料の種類によって石灰のろ、漆喰のろ、セメントのろなど様々な種類があります。それぞれの材料の特徴に合わせて、適材適所で使い分けられています。例えば、石灰のろは湿気を吸ったり吐いたりする性質に優れているため、日本の高温多湿な気候風土に合った建材として古くから重宝されてきました。湿気を調整してくれるので、結露を防いだり、カビの発生を抑える効果も期待できます。また、独特の風合いを持つことから、日本の伝統的な建築物によく用いられています。 漆喰のろは、石灰のろに糊や麻などの繊維質を混ぜたものです。石灰のろよりも強度が高く、ひび割れしにくいという特徴があります。施工がしやすく、滑らかな仕上がりになるため、装飾的な仕上げにも使われます。近年では、セメントのろも広く使われるようになってきました。セメントのろは強度が非常に高く、水にも強いため、建物の構造的な補強が必要な箇所の修繕に活用されています。 このように、「のろ」は様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。用途や目的に合わせて適切な「のろ」を選ぶことで、建物の耐久性や美観を保つことに繋がります。「のろ」は日本の伝統的な建築技術を支え、現代の建築にも活かされている重要な材料と言えるでしょう。