落し掛け:床の間の粋な演出

落し掛け:床の間の粋な演出

リフォームを知りたい

先生、「落し掛け」って、どんなものですか? リフォームの本で見て気になったんですけど、よく分かりません。

リフォーム研究家

ああ、落し掛けね。床の間の、小壁の下についている化粧材のことだよ。小壁と畳の間に、少し隙間があるのが分かるかな? そこに、横木のように取り付けるんだ。

リフォームを知りたい

なるほど。じゃあ、どんな材料を使うんですか? 木ですか?

リフォーム研究家

木を使うことが多いね。皮付きの丸太を使ったり、竹を使ったりすることもあるよ。床の間の雰囲気に合わせて、色々な材料が使われるんだ。

落し掛けとは。

床の間の低い壁の下に取り付ける化粧材のことを『落とし掛け』といいます。材料としては、皮のついた丸太や竹が使われることもあります。

落し掛けとは

落し掛けとは

床の間を構成する要素の一つに、落し掛けと呼ばれるものがあります。これは、床の間に設けられた少し低い壁、すなわち小壁の下部に水平に取り付けられる化粧材のことを指します。床の間の正面に位置する小壁は、床の間の格式を高める重要な役割を担っており、その小壁の下端に沿って、水平に設置されるのが落し掛けです。

落し掛けは、一見すると小さな部材ですが、床の間全体の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。小壁と床框(とこがまち床の間の畳と板の間の境目にある横木)との間に挟まれるように配置されることで、空間を引き締め、すっきりと洗練された印象を与えます。また、視線を水平方向に誘導する効果もあり、床の間の奥行きを強調し、より広がりを感じさせる効果も期待できます。

落し掛けの素材は、木材をはじめ、竹や金属など様々です。木材の場合、床柱や床框と同じ木材を用いることが多く、統一感のある落ち着いた雰囲気を演出します。一方、竹や金属を用いる場合は、素材特有の質感が空間にアクセントを加え、モダンな印象を与えるでしょう。形状も様々で、シンプルな直線的なものから、曲線や装飾が施されたものまで、多様なデザインが存在します。

このように、落し掛けは、その材質や形状によって様々な表情を見せ、床の間の装飾性を高める上で欠かせない存在です。小さな部材ながらも、空間全体の雰囲気を左右する力を持つ落し掛けは、日本の伝統的な建築様式における繊細な美意識を象徴するもののひとつと言えるでしょう。

項目 説明
名称 落し掛け
位置 床の間の正面の小壁の下端
役割
  • 床の間の格式を高める
  • 空間を引き締め、洗練された印象を与える
  • 視線を水平方向に誘導し、床の間の奥行きを強調
素材 木材、竹、金属など
形状 直線的なもの、曲線や装飾が施されたものなど
効果 床の間の装飾性を高める

落し掛けの役割

落し掛けの役割

床の間の重要な構成要素である落し掛けは、複数の役割を担っています。まず第一に、小壁と床框の接合部分を隠す化粧材としての役割があります。床の間の構築において、小壁と床框を完全に隙間なく接合させることは技術的に難しい場合が多く、どうしてもわずかな隙間や段差が生じてしまいます。落し掛けはこの接合部分を巧みに覆い隠すことで、床の間全体を美しく、一体感のある空間に仕上げます。継ぎ目が隠れることで、まるで一枚の板材から作られているかのような、洗練された印象を与えます。

次に、小壁の強度を高める補強材としての役割も担っています。小壁は、空間を仕切るために比較的薄い板材で作られることが多く、外部からの衝撃や荷重に弱いという性質があります。落し掛けを小壁に取り付けることで、小壁を支え、強度を高める効果が得られます。特に、掛け軸や花瓶などを飾る床の間では、小壁の強度が重要となります。落し掛けはこれらの装飾品の重量を支える役割も担っていると言えるでしょう。

さらに、床の間の装飾性を高める役割も忘れてはいけません。落し掛けは、木材をはじめ、様々な素材やデザインでつくられています。形状も様々で、シンプルな直線的なものから、曲線や彫刻が施されたものまで、多種多様な種類が存在します。床の間全体の雰囲気や好みに合わせて落し掛けを選ぶことで、空間の個性を際立たせ、より洗練された印象を与えることができます。例えば、数寄屋造りの床の間には、木材の自然な風合いを生かした簡素なデザインの落し掛けが調和し、格式高い床の間には、豪華な装飾が施された落し掛けが映えます。このように、落し掛けは床の間の雰囲気を決定づける重要な要素と言えるでしょう。

役割 説明
化粧材 小壁と床框の接合部分を隠す。隙間や段差を覆い、一体感のある洗練された印象を与える。
補強材 小壁の強度を高める。掛け軸や花瓶などの装飾品の重量を支える。
装飾 様々な素材やデザインで床の間の個性を際立たせる。数寄屋造りには簡素なデザイン、格式高い床の間には豪華な装飾が合う。

落し掛けの素材

落し掛けの素材

落し掛けは、床の間に飾る掛け軸や花を生ける花器などを吊るすための、大切な道具です。その素材は様々で、空間に彩りを添えるだけでなく、床の間全体の雰囲気を大きく左右します。古くから使われてきたのは、木材です。中でも、欅や杉といった高級な木材は、美しい木目と豊かな風合いを持ち、格調高い空間を演出します。特に、欅は硬くて丈夫なため、長く使い続けることができ、経年変化による色や艶の変化も楽しめます。杉は、柔らかな木肌と淡い香りが特徴で、落ち着いた雰囲気の床の間に良く合います。

木材以外にも、竹を使った落し掛けも人気です。竹は、しなやかで軽く、すっきりとした印象を与えます。皮付きのままの丸太や竹を用いると、自然の温もりを感じさせる素朴な空間を作り出すことができます。近年では、金属製の落し掛けも注目を集めています。鉄や銅、真鍮など様々な金属が用いられ、洗練されたデザインが現代的な住宅にも調和します。金属ならではの光沢や重厚感は、空間に高級感を与え、モダンな雰囲気を演出します。

落し掛けを選ぶ際には、床の間の広さや他の装飾品とのバランス、そして、住む人の好みに合わせて素材を選ぶことが大切です。例えば、和風の落ち着いた空間には、木や竹の落し掛けが、現代的な空間には金属製の落し掛けが合うでしょう。また、掛け軸や花器の色や形との調和も考慮することで、より洗練された空間を演出できます。このように、素材によって様々な表情を見せる落し掛けは、床の間を彩る大切な要素の一つと言えるでしょう。

素材 特徴 雰囲気 適した空間
木材(欅) 硬くて丈夫、美しい木目、経年変化を楽しめる 格調高い 和風の落ち着いた空間
木材(杉) 柔らかな木肌、淡い香り 落ち着いた 和風の落ち着いた空間
しなやかで軽い、自然の温もり 素朴な 和風の落ち着いた空間
金属(鉄、銅、真鍮など) 洗練されたデザイン、光沢、重厚感 モダン、高級感 現代的な空間

落し掛けの形状

落し掛けの形状

床の間の大切な要素の一つである落し掛けは、その形状も実に様々です。最もよく見られるのは、角材を水平に渡した簡素な形です。しかし、それだけではありません。角を丸く削った柔らかな印象のものや、職人の技が光る彫刻が施されたものなど、装飾性の高い落し掛けも多く存在します。これらは、床の間に優雅さや格調の高さを添えたい時に選ばれることが多いでしょう。

また、自然のままの風合いを生かした落し掛けも人気です。例えば、皮を剥がない丸太を使ったものや、竹をそのまま用いたものは、素朴ながらも力強い存在感を放ちます。これらの自然素材の落し掛けは、床の間に独特の趣を添え、安らぎを感じさせる空間を演出します。都会の喧騒を忘れ、自然の中にいるような穏やかな時間を過ごしたい方には、特におすすめと言えるでしょう。

落し掛けを選ぶ際には、床の間全体の釣り合いと、他の部分との調和を考えることが重要です。床柱や床框のデザインと、落し掛けの形や素材を合わせることで、統一感のある洗練された空間が生まれます。例えば、床柱に丸みを帯びた木材を使っているなら、落し掛けも角を丸めたものを選ぶと、空間に柔らかさが生まれます。逆に、床柱に角ばった木材を使っているなら、落し掛けも角材のものを使うと、空間に凛とした印象を与えます。このように、細部までこだわって選ぶことで、より洗練された、個性を反映した床の間を作り上げることができるでしょう。

種類 特徴 雰囲気 適した床の間
シンプルな角材 角材を水平に渡した簡素な形 簡素、すっきり
装飾性の高いもの 角を丸く削ったり、彫刻が施されたもの 優雅、格調高い
自然素材のもの 皮を剥がない丸太や竹など 素朴、力強い、安らぎ 都会の喧騒を忘れ、自然を感じたい空間

床の間全体の調和が重要
床柱や床框のデザインと、落し掛けの形や素材を合わせることで、統一感のある洗練された空間を作る。

  • 床柱に丸みを帯びた木材→落し掛けも角を丸めたもの:柔らかさ
  • 床柱に角ばった木材→落し掛けも角材:凛とした印象

まとめ

まとめ

床の間は、日本の住まいにおいて特別な場所であり、その美しさを際立たせるためには、細部へのこだわりが欠かせません。数ある要素の中でも、落し掛けは床の間の表情を大きく左右する重要な役割を担っています。

落し掛けとは、床の間の小壁と床框が出会う部分に取り付けられる部材です。一見すると小さな部分ですが、この落し掛けがあることで、小壁と床框の接合部分を美しく隠し、構造的な強度を高めることができます。また、落し掛けは単なる機能的な部材にとどまらず、床の間全体の装飾性を高める効果も持っています。

落し掛けには様々な素材や形状があり、それぞれが独特の風合いを醸し出します。例えば、木材であれば、欅や檜などの高級材を用いることで、重厚で格調高い雰囲気を演出できます。一方、竹や葦といった自然素材を用いると、軽やかで風情のある空間を創り出すことができます。また、形状も直線的なものから曲線的なものまで様々であり、床の間のデザインに合わせて選ぶことで、空間に統一感を持たせることができます。

落し掛けを選ぶ際には、床の間全体の雰囲気や自身の好みに合わせて、素材や形状を検討することが大切です。例えば、現代的な和室にはシンプルなデザインの落し掛けが、伝統的な和室には重厚感のある落し掛けが調和しやすいでしょう。

リフォームや新築で和室を設ける際には、床の間の他の要素だけでなく、落し掛けにも目を向けてみることをお勧めします。小さな部分へのこだわりが、空間全体の完成度を高め、より洗練された和空間を実現する鍵となるでしょう。

要素 概要
落し掛けの役割 床の間の小壁と床框の接合部分を隠し、構造的な強度を高め、装飾性を高める
落し掛けの種類 素材(木材、竹、葦など)、形状(直線、曲線など)
素材と雰囲気 高級木材:重厚で格調高い雰囲気
自然素材:軽やかで風情のある雰囲気
形状と雰囲気 デザインに合わせて空間に統一感を持たせる
落し掛けの選び方 床の間全体の雰囲気や好みに合わせて素材や形状を検討する
推奨事項 リフォームや新築で和室を設ける際には、落し掛けにも目を向ける