建築におけるオープンシステム
分離発注方式とは、家を建てる際、施主自身が一括して業者に頼むのではなく、設計事務所、工事を行う業者(大工や電気工事業者など)と、それぞれ個別に契約を結ぶ方法です。
従来よく用いられる一括請負方式では、一つの業者に設計から工事まで全てを任せるため、施主の手間は省けます。しかし、費用がどのように使われているのか分かりにくいという難点もあります。分離発注方式では、施主がそれぞれの専門業者と直接やり取りをするため、工事内容を細かく把握でき、費用についても透明性が確保されます。
例えば、使われている材料の種類や価格、職人さんの人件費などを、それぞれの業者から直接説明を受けることができます。そのため、予算を自分の思い通りに配分し、不要な費用を削ったり、こだわりの部分に費用をかけたりといった融通が利きやすくなります。
また、設計事務所とも直接契約するため、間取りやデザインについて、自分の希望をより具体的に伝えることができます。専門家である設計士から直接助言を受けながら、納得のいくまで話し合い、理想の家を形にしていくことが可能です。
しかし、分離発注方式では、施主自身の負担が大きくなるという側面もあります。複数の業者との調整や、それぞれの契約手続き、工事の進捗管理など、多くの時間と労力を費やすことになります。それぞれの業者の仕事が円滑に進むように、施主が積極的に調整役を担う必要があるのです。
そのため、分離発注方式を選ぶ場合は、施主が家造りに関する知識を深め、積極的に関わる覚悟が必要です。もし、仕事などで忙しく、十分な時間と労力を割けない場合は、一括請負方式の方が適しているかもしれません。分離発注方式は、施主の深い理解と積極的な行動によって、初めて成功を収めることができるのです。