BOD

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住宅設備

見えない汚れを数値化:BOD値の解説

私たちが日常生活で使う水を排水した後、一見すると澄んで綺麗に見えても、実は様々なものが溶け込んでいます。炊事や洗濯、お風呂などで使った水には、目には見えないけれど、多くの有機物が含まれています。これらの有機物は、そのまま川や海に流れ込むと、水質を悪化させる原因となります。そこで、水の汚れ具合を正確に測るための物差しとして、「生物化学的酸素要求量」、つまりBODという指標が使われています。 BODとは、水中の微生物が有機物を分解する際に、どのくらいの酸素を必要とするかを数値化したものです。微生物は、水中の有機物を食べて分解する際に酸素を消費します。ですから、BODの値が高いということは、それだけ微生物が分解する有機物が多い、つまり水が汚れているということを意味します。逆に、BODの値が低い場合は、水中の有機物が少なく、水は比較的綺麗だと言えるでしょう。 このBODという物差しは、私たちの身の回りの水環境を守る上で、とても大切な役割を担っています。例えば、工場から出る排水には、様々な有機物が含まれている可能性があります。そこで、排水に含まれるBOD値を測定することで、排水がどのくらい環境に影響を与えるかを調べることができるのです。BOD値が高い排水は、そのまま川や海に流すことはできません。きちんと処理をして、BOD値を下げてから放流する必要があります。 また、川や湖、海のBOD値を定期的に測定することで、水質の変化を監視することができます。もしBOD値が急に高くなった場合は、何らかの原因で水質が悪化している可能性があります。すぐに原因を調査し、適切な対策をとることで、水環境の悪化を防ぐことができるのです。このように、BODは目に見えない水の汚れを測る物差しとして、私たちの生活環境を守る上で欠かせない存在となっています。