隔て板

記事数:(1)

防災

避難経路の確保としきり板

しきり板とは、集合住宅の各住戸のベランダを区切る、壁のような板のことです。マンションやアパートといった、複数の住まいが一つ屋根の下に集まっている建物でよく見られます。隣の住戸との境界に設置されており、隔て板や仕切り壁とも呼ばれています。この板は、私たちの暮らしの中で、プライバシー保護と緊急時の避難という、二つの重要な役割を担っています。 まず、普段の生活において、しきり板は隣家との視線を遮る役割を果たします。洗濯物を干したり、ベランダでくつろいだりする際、隣家の視線が気になることはありません。それぞれの住まいをきちんと分け、お互いの生活空間を守ることで、プライバシーを守り、快適な暮らしを支えています。集合住宅では、隣家との距離が近いため、しきり板の存在は、良好な近隣関係を築く上でも大切な要素と言えるでしょう。 一方、火災などの緊急時には、このしきり板が避難経路となります。もしもの災害時、自室からの脱出が困難な場合、このしきり板を壊して隣のベランダへ避難することができるのです。多くのしきり板は、緊急時に容易に壊せるよう、比較的壊れやすい素材で作られています。例えば、蹴破り板と呼ばれる部分には、薄い石膏ボードなどが使われています。また、隣家との境に設置された避難ハッチも、緊急時の脱出経路となります。普段は施錠されていますが、非常時には簡単に開けることができます。このしきり板と避難ハッチの存在は、万が一の災害発生時に、生存の可能性を高める重要な役割を担っているのです。 このように、しきり板は、私たちの安全と安心を守る、目立たないながらも大切な設備と言えるでしょう。普段はプライバシーを守り、非常時には避難路となる、この二重の機能こそが、しきり板の大きな特徴であり、集合住宅にとって必要不可欠な存在である理由です。