石綿

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アスベスト問題と住宅リフォーム

石綿(いしわた)、とも呼ばれるアスベストは、自然界で産出される繊維状の鉱物です。極めて細い繊維が集まって束のようになっているため、見た目ではなかなかそれと分かりません。この石綿は、かつては建材として様々な場所で広く使われていました。火に強く、熱を伝えにくく、音を遮る性質にも優れていたためです。また、価格が安く、加工もしやすいため、家をはじめ、学校、工場、病院など、実に様々な建物で利用されていました。具体的には、屋根の材料、壁の材料、床の材料、熱を逃がさないための材料、配管の保温材などに含まれていました。 しかし、後に石綿が人の体に深刻な健康被害をもたらすことが明らかになりました。石綿の繊維を呼吸によって吸い込むと、肺がん、中皮腫、じん肺といった深刻な病気を引き起こす危険性があります。これらの病気は、発症するまでに数十年もの長い年月がかかることもあり、発症が遅れることも問題の一つです。初期症状が現れにくいため、気づかないうちに病気が進行してしまう場合もあります。石綿が原因で発症する病気は、現在の医療技術をもってしても完治が難しいケースが多く、予防が何よりも重要です。 このような健康への影響から、現在では石綿の使用は法律によって厳しく規制され、石綿を含まない製品が主流となっています。古い建物を取り壊す際や、改修工事を行う際にも、石綿が飛散しないように、細心の注意を払う必要があります。もし、自宅や職場などに石綿が使われている可能性がある場合は、専門の業者に相談し、適切な対策を講じることが大切です。
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石綿パーライト板:安心安全なリフォームのために

石綿パーライト板とは、火山活動で生まれた真珠岩や黒曜石といった天然の鉱物を原料とする建材です。これらの鉱物を細かく砕き、高温で焼いて作ったものがパーライトと呼ばれます。パーライトは、とても軽く、熱を伝えにくい性質を持っています。このパーライトに、石綿とセメントを混ぜ合わせ、板状に固めたものが石綿パーライト板です。石綿を加えることで、板の強度が増し、火にも強くなるため、建材として非常に優れた性質を持つようになりました。 石綿パーライト板が広く使われ始めたのは、1950年代から1980年代のことです。特に、火災を防ぐための壁や天井に多く使われました。部屋と部屋を仕切る壁や、天井を覆う材料として、建物の安全を守る上で重要な役割を果たしていました。当時は、火に強く、熱を伝えにくいことから、建築基準においても高く評価されていました。 しかし、その後、石綿が健康に悪影響を及ぼすことが明らかになりました。石綿を吸い込むと、肺の病気を引き起こす危険性があることが分かり、建材として使うことが禁止されるようになりました。現在では、石綿パーライト板は製造も使用も禁止されており、既存の建物に使用されている場合は、適切な処理が必要となります。そのため、古い建物をリフォームする際には、石綿パーライト板が使われていないかを確認することが大切です。
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石綿スレート板:知っておくべき基礎知識

石綿スレート板とは、石綿とセメントを主原料とした板状の建築材料です。別名で石綿セメント板とも呼ばれています。石綿は繊維状の鉱物で、セメントに混ぜ込むことで、建材の強度を高め、長持ちさせる効果があります。この石綿とセメントを水で練り合わせ、強い圧力をかけて板状に成形した後、水分をじっくりと抜き取って乾燥させることで、石綿スレート板は製造されます。 製造時の圧力の強さや、石綿とセメントの配合比率、乾燥方法などによって、石綿スレート板の性能は異なり、様々な種類が存在します。例えば、薄くて曲げやすいものや、厚くて頑丈なものなど、用途に合わせて使い分けられています。 この石綿スレート板は、主に建物の外壁や屋根、内装材として広く使われてきました。火に強く、水にも強いという特徴に加え、熱を伝えにくく、音を遮断する効果にも優れているためです。また、他の建材と比べて比較的値段が安く、加工もしやすいため、多くの家やビルで使われてきました。特に、昭和30年代から50年代にかけて建てられた建物には、石綿スレート板が多く使われています。 しかし、近年では石綿が人の健康に悪影響を与えることが明らかになり、新しい建物への使用は減ってきています。現在では、石綿を含まない建材が主流となっています。とはいえ、既に建てられた建物には、まだ多くの石綿スレート板が残っているため、適切な扱いが求められています。特に、老朽化して壊れたり、破損したりした石綿スレート板は、石綿繊維が飛散する危険性があるため、専門の業者による適切な処理が必要です。 石綿スレート板かどうかを見分けるのは簡単ではありませんが、築年数が古い建物で、波板状や平板状の外壁や屋根材であれば、石綿スレート板の可能性があります。心配な場合は、専門業者に相談してみるのが良いでしょう。
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石綿: 知っておくべき危険性と対策

石綿とは、自然界に存在する繊維状の鉱物です。糸のように細く、絡み合った構造をしています。この独特の構造が、石綿の持つ優れた特性を生み出しています。例えば、火に強く燃えにくい耐火性、熱を伝えにくい断熱性、音を吸収する防音性などです。これらの優れた特性から、かつては様々な用途で利用されていました。 家屋においては、屋根材や壁材、断熱材、保温材などに用いられ、快適な住まいづくりに貢献していました。また、配管の保温材としても使われ、熱の損失を防ぐ役割を果たしていました。さらに、建物以外にも、自動車のブレーキパッドやクラッチ板といった、摩擦に強く耐久性が求められる部品にも使用されていました。 このように、石綿は建材から工業製品まで幅広く利用され、私たちの生活を支える重要な素材だったのです。しかし、その一方で、石綿を吸い込むことで健康に深刻な影響を及ぼすことが後に明らかになりました。極めて細い繊維である石綿は、吸い込むと肺の奥深くまで入り込み、長い年月をかけて肺の組織を傷つけ、深刻な病気を引き起こす可能性があります。 この危険性が明らかになったことを受け、現在では石綿の使用は厳しく制限されています。建物の解体や改修工事の際には、石綿の飛散を防ぐための特別な対策が義務付けられています。かつて広く使われていた素材であるがゆえに、私たちの身の回りにはまだ石綿を含む建材が残っている可能性があります。そのため、石綿の危険性と適切な対処法について、正しく理解しておくことが大切です。