建具の要、竪子の役割
格子といえば、和風の建具を連想する人が多いでしょう。格子戸や障子戸、欄間など、日本の伝統的な建物には格子がよく使われています。格子模様の建具は、部屋に柔らかな光を取り込み、風を通す一方で、外からの視線を遮るという機能を持っています。この格子の美しさや機能を支えているのが、竪子と呼ばれる細長い木材です。
竪子は、格子を構成する縦方向の部材です。格子全体の強度や形を保つ上で大切な役割を担っています。格子を作る際は、まず竪子を同じ間隔で並べ、そこに横方向の部材である横子を組み合わせて格子状の模様を作ります。竪子の太さや間隔によって格子の模様は大きく変わり、繊細な模様から大胆な模様まで、様々な模様を生み出すことができます。
竪子の太さや間隔は、格子のデザインだけでなく、強度にも影響します。特に、格子戸や障子戸のように、開け閉めを繰り返す建具では、竪子の強度が建具の耐久性に直結します。そのため、建具の用途や大きさ、模様に合わせて、適切な太さや種類の竪子を選ぶことが大切です。例えば、大きな格子戸には太くて丈夫な竪子が必要ですし、繊細な模様の格子には細めの竪子を使うなど、用途に応じて使い分ける必要があります。
古くから、日本の建築では、その土地で採れる木材を使って竪子を作ってきました。地域によって異なる木材の特徴を理解し、最適な材料を選ぶことで、美しく、そして長く使える建具を作り上げてきました。例えば、湿気の多い地域では、水に強い木材を選ぶなど、地域の気候風土に合わせた材料選びが重要です。
このように、竪子は格子の美しさと機能を支える、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。格子戸や障子戸など、日本の伝統的な建具を通して、先人たちの知恵と工夫を感じることができます。家のリフォームや新築の際には、格子のデザインだけでなく、それを支える竪子にも注目することで、より深く日本の伝統建築の美しさを味わうことができるでしょう。