掛け障子

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和室

掛け障子:和室の趣を深める

掛け障子とは、主に茶室や和室で見られる、装飾を目的とした小さな障子のことです。床に近い低い位置に、まるで小さな窓のように設置されています。一見すると窓のように見えますが、実際には開閉することはできません。その名前の由来は、下地窓に小さな障子を掛けるように設置することから、「掛け障子」と呼ばれています。 掛け障子は、特に茶室でよく見られます。茶室は、静寂とわびさびを重んじる空間であり、掛け障子は、その独特の雰囲気作りに重要な役割を果たしています。柔らかな光を室内に取り込み、落ち着いた雰囲気を演出します。また、和室にも設置されることがあります。和室においても、掛け障子は空間のアクセントとなり、洗練された印象を与えます。 一般的な障子との大きな違いは、その大きさです。通常の障子は人が通り抜けるために十分な大きさがありますが、掛け障子はそうではありません。掛け障子は、あくまで装飾的な要素であり、人や物の出入りには使われません。小さな額縁のような存在で、外の景色を切り取るというよりは、光と影の interplay を楽しむためのものです。 掛け障子の素材は、主に木と紙で作られています。木枠に和紙を張り、繊細な格子模様が施されていることが多いです。この格子模様も、装飾性を高める重要な要素となっています。シンプルなデザインの中に、日本の伝統的な美意識が凝縮されていると言えるでしょう。 掛け障子は、控えめながらも存在感のある、日本の住空間における独特の装飾品です。その小さな姿の中に、日本の伝統的な美意識と、静寂を愛する心が表現されています。