家造りの要、役物とは?
家づくりやリフォームの現場で、「役物(やくもの)」という言葉を耳にすることがあるでしょう。この「役物」とは、一体どのようなものを指すのでしょうか。
簡単に言うと、役物とは、規格化された既製品ではない、特殊な形状の建築材料や部品のことです。家づくりは、規格化された材料を組み合わせて行うのが基本ですが、建物のデザインや構造によっては、既製品では対応できない場合があります。そこで、職人が一つひとつ手作業で加工した特別な材料が必要になるのです。これが「役物」です。
例えば、木材で考えてみましょう。真っ直ぐな角材は規格品として容易に入手できますが、屋根の勾配に合わせて斜めにカットされた木材や、複雑な形状の装飾に使われる木材などは、規格品ではありません。これらは職人が設計図に基づいて加工する必要があり、まさに「役物」と言えるでしょう。具体的には、曲がりや角、入り隅、出隅などに加工された木材、あるいは、節のない木材、特殊な形状に加工された木材などが挙げられます。
木材以外にも、建材で言えば、窓枠やドア枠などの複雑な形状のものも役物です。これらは既製品もありますが、建物のデザインに合わせて特注で製作される場合もあります。また、屋根の棟飾りや軒先の装飾など、建物の外観を美しく彩る部材も役物です。
これらの役物は、一見小さな部品のように見えますが、建物の細部を作り上げ、全体の強度や美観を高める上で欠かせない重要な役割を担っています。家づくりは、規格化された材料と、職人の技が光る役物によって、初めて完成すると言えるでしょう。だからこそ、家づくりやリフォームを検討する際には、どのような役物が使われているかにも注目してみると、より深く理解できるはずです。