イギリス張りで魅せる壁と床
イギリス張りは、その名前が示す通り、イギリスで生まれたタイルの張り方です。レンガを積み上げる様子にも似たこの模様は、小口タイルと二丁掛けタイルを交互に一段ずつずらして張るという独特の技法から生まれます。
まず、「小口」とは、ものの短い辺側のことを指します。小口タイルは、タイルの短い辺を正面に向けて壁や床に張ります。一枚一枚が小ぶりな印象で、可愛らしさを感じさせます。次に、「二丁掛け」とは、二枚のタイルを横に並べて、長い辺を正面に見せる張り方のことです。一枚のタイルよりも存在感があり、どっしりとした安定感を生み出します。
この二つの異なる大きさのタイルを、一段ずつ互い違いに配置することで、規則正しいリズムが生まれます。単調な繰り返しではなく、小口と二丁掛けの組み合わせが空間に動きを与え、見る人の目を惹きつけます。この規則性と変化の調和こそが、イギリス張りの最大の魅力と言えるでしょう。
イギリス張りは、古くからイギリスの建物で広く使われてきました。歴史ある街並みを彩る伝統的な技法として、人々に長く愛されてきました。そして現代においても、その古風な趣と洗練された印象は色褪せることなく、様々な様式の家に取り入れられています。イギリス張りは、空間に上品さと落ち着きを与え、どこか懐かしさを感じさせる温もりを醸し出します。それはまるで、イギリスの穏やかな田園風景を思い起こさせるかのようです。