塗り残し窓

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趣ある下地窓:茶室の静寂に映える侘び寂び

下地窓とは、日本の伝統的な建築技法を用いた窓のことです。 多くの場合、茶室などの簡素な美しさを重んじる空間に用いられ、独特の風情を醸し出します。 一般的な窓とは異なり、窓枠を取り付けません。 壁の下地材として使われている小舞と呼ばれる細い竹や木を格子状に組み上げたものを、そのまま窓として利用します。つまり、壁を造る過程で、窓となる部分をあえて小舞のまま露出させることで、下地窓が形作られるのです。 この小舞の格子模様が、飾り気のない素朴な美しさを生み出します。窓枠などの装飾がないため、壁と窓が一体となり、周囲の景色に自然と溶け込みます。また、小舞の隙間から柔らかな光が室内に入り、落ち着いた雰囲気を作り出します。 下地窓は、日本の侘び寂びの精神を体現していると言えるでしょう。華美な装飾を施すのではなく、素材そのものの持ち味を生かし、簡素な造りの中に奥深い美しさを見出す。まさに、無駄を削ぎ落とした洗練された美意識がそこにあります。 現代の建築様式にも、この下地窓の意匠を取り入れることができます。自然素材の温もりと落ち着いた雰囲気は、現代の住まいにも安らぎと静寂をもたらしてくれるでしょう。小舞の隙間から入る柔らかな光は、空間をより広く感じさせる効果も期待できます。自然と調和した、心落ち着く空間作りに、下地窓は一つの選択肢となるでしょう。