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工法

光り板:匠の技を支える影の立役者

光り板とは、日本の伝統建築で複雑な形を寸分違わず再現するために使われる薄い板のことです。職人の技を写し取る魔法の板と例えられることもあります。特に、曲線や複雑な形の部材を加工する際に、その真価を発揮します。 光り板は、主に杉や檜などの薄い板で作られます。表面は滑らかに仕上げられており、墨で線を引くのに適しています。寺社仏閣の装飾や数寄屋建築に見られるような、優美な曲線を持つ部材を作る際には、この光り板が欠かせません。設計図に描かれた通りの形を、木材に正確に写し取ることができるからです。 光り板を使う方法は、まず原寸図と呼ばれる設計図を薄い板に貼り付け、その線に沿って小さな穴を開けていきます。次に、光り板を木材に重ね、穴に墨汁を含ませた綿などを刺して印をつけます。この印を繋げば、木材に正確な線が描かれ、複雑な形でも容易に切り出すことができるのです。 また、同じ形の部材をいくつも作る際にも、光り板は大変役立ちます。高度な技術を持つ職人であっても、フリーハンドで全く同じ形を何度も描くのは至難の業です。光り板を使えば、誰でも簡単に同じ形を再現できます。これは、建築物の均一性や美観を保つ上で非常に重要です。大量生産の時代になっても、複雑な形状を正確に、そして均一に再現できる光り板は、日本の伝統建築にとって無くてはならない存在であり続けているのです。まるで縁の下の力持ちのように、光り板は職人の技を支え、日本の建築文化を陰で支えていると言えるでしょう。