土壌改良

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エコ

コンポストで始める家庭菜園

堆肥とは、落ち葉や野菜くず、刈り取った草、米ぬか、茶殻といった、自然の中で分解される有機物を、微生物の働きを利用して分解・発酵させたものです。まるで自然界の循環を小さな規模で再現しているかのようです。この過程を経て、堆肥は栄養豊富な土壌改良剤へと変化します。 畑や庭に堆肥を施すと、植物の生育に必要な養分を供給することができます。堆肥に含まれる養分はゆっくりと土壌に溶け出すため、化学肥料のように一度に多くの養分を与えるよりも、植物が吸収しやすい状態で長く効き目を保ちます。また、堆肥は土壌の物理的な性質も改善します。堆肥を混ぜ込むことで、土の粒々がくっつき団粒構造を作ります。この構造のおかげで、土壌の通気性や保水性が向上し、植物の根が健やかに育つ環境が整います。 堆肥を使うメリットは土壌改良だけにとどまりません。堆肥は自然由来の材料から作られるため、環境への負担が少ないことも大きな利点です。化学肥料の製造や使用による環境問題が懸念される中、堆肥は持続可能な農業にとって重要な役割を担っています。家庭菜園で堆肥を作ることで、生ゴミを減らすことも可能です。普段捨ててしまう野菜くずや果物の皮などを堆肥にすることで、ゴミの量を減らし、ゴミ処理にかかる費用や手間を省くことができます。また、堆肥作り自体も楽しいものです。微生物の働きを実感し、自然の循環を身近に感じることができるでしょう。堆肥はまさに、自然の恵みを活かした、人と環境に優しい土壌改良剤と言えるでしょう。
土地

暗渠排水:水田の乾田化技術

暗渠排水とは、農地、特に水田の地下にパイプを埋設し、余分な水分を排水路へ流す技術です。まるで地下に隠された水路のような役割を果たし、水田を乾いた状態に保つことができます。 従来、水田は田植えから稲刈りまで常に水で満たされているのが一般的でした。しかし、収穫期や耕耘期に農業機械を導入するには、水田が乾いている必要があるため、作業前に水を抜き、作業後に再び水を張るという手間がかかっていました。暗渠排水はこの手間を省き、必要な時に速やかに水田を乾かすことを可能にします。 乾いた水田は、農業機械の通行を容易にするだけでなく、土壌の通気性を高め、稲の根の成長を促進する効果もあります。しっかり根を張った稲は、養分を効率的に吸収し、収穫量の増加や品質向上につながります。また、病害虫の発生を抑える効果も期待できます。 近年、地球温暖化の影響で、集中豪雨や長雨が増加しています。このような異常気象による水田の浸水被害を軽減する上でも、暗渠排水は有効な手段となります。地下に埋設されたパイプが余分な水を速やかに排水することで、水田の水位上昇を抑え、浸水を防ぐとともに、土壌の流出も防ぎます。 このように、暗渠排水は農業の効率化だけでなく、災害対策としても重要な役割を担っています。農業を取り巻く環境変化に対応するための、持続可能な農業を実現する上で、欠かせない技術と言えるでしょう。