コンポストで始める家庭菜園
堆肥とは、落ち葉や野菜くず、刈り取った草、米ぬか、茶殻といった、自然の中で分解される有機物を、微生物の働きを利用して分解・発酵させたものです。まるで自然界の循環を小さな規模で再現しているかのようです。この過程を経て、堆肥は栄養豊富な土壌改良剤へと変化します。
畑や庭に堆肥を施すと、植物の生育に必要な養分を供給することができます。堆肥に含まれる養分はゆっくりと土壌に溶け出すため、化学肥料のように一度に多くの養分を与えるよりも、植物が吸収しやすい状態で長く効き目を保ちます。また、堆肥は土壌の物理的な性質も改善します。堆肥を混ぜ込むことで、土の粒々がくっつき団粒構造を作ります。この構造のおかげで、土壌の通気性や保水性が向上し、植物の根が健やかに育つ環境が整います。
堆肥を使うメリットは土壌改良だけにとどまりません。堆肥は自然由来の材料から作られるため、環境への負担が少ないことも大きな利点です。化学肥料の製造や使用による環境問題が懸念される中、堆肥は持続可能な農業にとって重要な役割を担っています。家庭菜園で堆肥を作ることで、生ゴミを減らすことも可能です。普段捨ててしまう野菜くずや果物の皮などを堆肥にすることで、ゴミの量を減らし、ゴミ処理にかかる費用や手間を省くことができます。また、堆肥作り自体も楽しいものです。微生物の働きを実感し、自然の循環を身近に感じることができるでしょう。堆肥はまさに、自然の恵みを活かした、人と環境に優しい土壌改良剤と言えるでしょう。