定期借地権の基礎知識
定期借地権とは、平成4年に施行された借地借家法によって新しく設けられた土地の権利の形態です。簡単に言うと、決められた期間だけ土地を借りて建物を建てたり利用したりできる権利のことです。この権利は、従来の借地権とは大きく異なる点があります。
従来の借地権の場合、契約期間が終了しても、更新を拒否されるケースは稀で、ほぼ自動的に契約が更新されるのが一般的でした。しかし、定期借地権の場合は、契約期間が満了すると、更地にして土地を返還する義務が生じます。つまり、せっかく土地を借りて建物を建てて住んでいても、期間が来ればその土地を利用する権利はなくなり、更地にして返さなければならないのです。この点が、土地を自分のものとして自由に使える所有権とは大きく異なります。
所有権は、土地を自由に使用したり、収益を得たり、処分したりできる権利です。しかし、定期借地権はあくまで借りた土地を一定期間利用する権利に過ぎません。所有権のように自由に土地を扱うことはできません。
契約期間は当事者間で自由に決めることができますが、最低でも30年以上と定められています。また、契約の更新はありません。契約期間が満了すれば、必ず土地を返還しなければなりません。ただし、当事者間で合意があれば、改めて定期借地権を設定し直すことは可能です。
定期借地権は、所有権に比べて地代が安く設定されていることが多いというメリットがあります。しかし、契約期間が満了すれば更地にして土地を返還しなければならないという大きな制約もあります。そのため、契約期間や更新の有無など、契約内容をよく理解した上で、利用を検討することが大切です。