付書院

記事数:(3)

和室

平書院:現代の住まいにおける活用

平書院とは、日本の伝統的な家屋に見られる、床の間の横に設けられた書院造の形式の一つです。書院造とは、武士階級の住宅様式として発展したもので、床の間、違い棚、付書院といった構成要素を持つ格式高い空間のことです。平書院はその名の通り、壁面と水平に設けられた書院を指します。 平書院と対比されるものとして、付書院が挙げられます。付書院は、縁側に張り出すように造られた書院で、床の間と一体的に構成される場合が多く、より格式が高いとされています。一方、平書院は、付書院を簡略化した形式とされており、縁側に張り出す部分が無く、壁の中に納まっています。そのため、付書院に比べて奥行きを抑えることができ、限られた空間を有効に活用できるという利点があります。 平書院は、主に座敷や客間などに用いられ、書斎としての用途だけでなく、飾り棚としての役割も担っていました。現代の住宅においても、その洗練された見た目と実用性から、様々な形で取り入れられています。例えば、床の間に隣接して平書院風の飾り棚を設置したり、リビングの一角に書院風のコーナーを設けるなど、和の雰囲気を取り入れることができます。また、平書院の構成要素である違い棚や、欄間といった意匠を取り入れることで、現代的な空間にも馴染む和の趣を演出することが可能です。平書院は、日本の伝統的な様式美と機能性を兼ね備えた、現代の住宅にも適した優れた造形と言えるでしょう。
和室

付書院:和室の趣を深める工夫

付書院とは、日本の伝統的な家屋である和室に見られる、小さな机のような造作のことです。床の間に寄り添うように設置され、書物を読んだり、手紙を書いたり、飾り物を置いたりするなど、多目的に使われてきました。現代の住まいでも、その用途は広がり、机代わりにパソコンを置いたり、趣味の道具を飾ったりと、暮らしに合わせて活用されています。 付書院があることで、和室の雰囲気はがらりと変わります。空間に奥行きと趣が生まれ、落ち着いた雰囲気を醸し出す効果があります。これは、付書院が持つ独特の存在感と、それがもたらす視覚的な効果によるものです。 付書院の設置場所は、一般的に床の間の反対側の壁面です。格式高い床の間と対をなすように配置することで、部屋全体のバランスが整います。また、床の間と同じ高さに設置されることが多いのは、視覚的な統一感を出すためです。床の間と付書院の高さを揃えることで、空間に安定感が生まれます。 付書院の形は様々です。壁から棚板が突き出したシンプルなものから、精巧な彫刻や蒔絵が施された豪華なものまで、多種多様なデザインが存在します。家の大きさや和室の様式に合わせて、ふさわしいものを選ぶことが大切です。例えば、現代的な和室にはシンプルなデザインの付書院が、伝統的な和室には装飾性の高い付書院が合うでしょう。 付書院は、単なる造作ではなく、和室の空間をより豊かに、そして機能的に活用するための重要な要素です。設置することで、和の趣を感じられる落ち着いた空間を演出することができます。また、限られた空間を有効活用できるという実用的なメリットもあります。
和室

書院造り:日本の伝統的な住まいの様式

書院造りとは、日本の伝統的な住まいの様式の一つで、特に武士の家に多く見られました。現代では床の間のある和室を指す言葉として使われることもありますが、本来は建物全体の構成や様式を表す言葉です。決まった定義はありませんが、一般的には、複数の部屋を襖や障子、壁などで仕切り、それぞれの空間に合わせた天井を張る形式です。 客間は、来客をもてなすための大切な空間です。床の間には掛け軸や花を生け、違い棚には香炉や美術品などを飾り、付書院には書物や文房具を置きました。これらの装飾は、客をもてなす心を形にしたものです。一方、居住空間は、家の主人と家族が生活する私的な空間として、客間とは区別されています。このように、公的な空間と私的な空間がはっきりと分けられていることが、書院造りの大きな特徴です。 書院造りの構造は、主に木材を使った軸組工法です。角柱と貫、桁、長押といった角材を組み合わせることで、建物を支えています。柱と柱の間には壁を設けず、柱や梁などの構造材をそのまま見せる真壁造りも特徴の一つです。また、建具には格子戸や板戸、障子などが使われ、それぞれに繊細な組子細工が施されるなど、洗練された技術と美意識が随所に見られます。書院造りは、日本の風土や文化を反映した、優れた建築様式と言えるでしょう。