素朴な風合いのテラコッタタイル
粘土を焼いて作られたテラコッタタイルは、素朴であたたかみのある風合いが魅力の焼き物タイルです。 その名前は、イタリア語で「焼いた土」という意味を持ち、その名の通り、土の温もりをそのまま感じられる素材です。南ヨーロッパのスペイン、イタリア、フランスなど、地中海沿岸地域では、古くから屋根材や床材として使われてきました。太陽の光をたっぷり浴びた家々の屋根や、風情ある街並みを彩る歩道など、テラコッタタイルは、その土地の風景に溶け込み、独特の雰囲気を作り出しています。
近年では、日本でもその魅力が見直され、住宅をはじめ、お店や公共の建物など、様々な場所で活用されるようになっています。 自然素材ならではの独特の質感と、使い込むほどに味わいを増していくという特徴は、他の素材にはない大きな魅力です。
テラコッタタイルの色合いは、土本来の色味を生かした、あたたかみのある赤茶色が主流です。 この色合いは、空間に落ち着いた雰囲気と、ぬくもりを与えてくれます。また、タイルの表面には、焼きむらや色の濃淡など、一つ一つ異なる表情が見られます。これは、大量生産品にはない、手作りならではの個性であり、空間に自然な風合いと奥行きを与えてくれるのです。
年月が経つにつれて、テラコッタタイルの表面は、雨や風、太陽の光など、自然の力によって少しずつ変化していきます。 色が深みを増したり、表面に独特の風合いが生まれたりすることで、時が経つほどに味わいを増していく、まさに「生きた素材」と言えるでしょう。この変化もまた、テラコッタタイルの魅力の一つであり、住む人の心を豊かにしてくれるはずです。