スレート瓦:屋根材の選び方
スレート瓦とは、建物の屋根を覆うために使われる瓦の一種です。セメントに繊維質の材料を混ぜて固めたもので、焼成を必要としない瓦のことを指します。瓦というと、波打つような形を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、スレート瓦は名前が示す通り、板状の平らな形状をしています。
ただし、粘板岩という天然の石を薄く板状に加工した瓦もスレート瓦と呼ばれています。そのため、材料の違いから天然素材のものと人工的に製造されたものの二種類に分けられます。現在、主流となっているのは人工スレート瓦で、無石綿セメントスレートが該当します。天然スレート瓦は玄昌石などを薄く剥がして作られますが、この工程に手間がかかるため、非常に高価です。そのため、天然スレート瓦は「スレート瓦」と呼ばれることは少なく、素材の名前で呼ばれることが多いです。
屋根の構造自体は、一般的な瓦屋根と大きな違いはありません。人工スレート瓦は、従来の瓦と比べて価格が抑えられ、デザイン性も高く、軽量であるという利点があります。そのため、新築だけでなく、屋根の葺き替え工事にも多く採用されています。また、薄い形状のため、屋根の勾配が緩やかでも使用できます。
人工スレート瓦はセメントを主成分としているため、経年劣化により防水性が低下することがあります。定期的な点検と塗装などのメンテナンスを行うことで、建物を雨風から守り、長く快適な住まいを維持することができます。近年では、太陽光発電システムと組み合わせた屋根材も登場しており、環境にも配慮した住まいづくりに役立っています。