住まいの心地よさを左右する入隅
入隅とは、二つの面が交わってできる、内側にへこんだ角の部分のことです。ちょうど部屋の壁と壁が接するところや、壁と天井が出会うところなどを想像してみてください。私たちの暮らす家の中には、実はたくさんの入隅が存在しています。普段はあまり気に留めることもないかもしれませんが、この入隅が、部屋の雰囲気や住み心地に大きな影響を与えているのです。
入隅の形や仕上げ方次第で、部屋の印象は大きく変わります。たとえば、鋭く尖った入隅は空間に引き締まった印象を与え、丸みを帯びた入隅は優しい雰囲気を醸し出します。また、入隅部分の材料や色使いによっても、部屋の広がりや奥行きが違って見えることがあります。つまり、リフォームや家造りをするときには、入隅の処理方法をよく考えることが大切なのです。入隅のような細部へのこだわりこそが、より快適な住まいを実現するための鍵となるでしょう。
入隅を活かした空間づくりの例をいくつかご紹介しましょう。たとえば、居間の壁と天井の入隅に間接照明を取り付けると、天井が高く感じられ、広々とした空間を演出できます。また、壁の入隅に飾り棚を設置すれば、何もなかった空間を有効活用できるだけでなく、部屋全体におしゃれなアクセントを加えることもできます。さらに、廊下など少し暗い場所に、入隅に沿って照明を設置することで、足元を照らし安全性を高めるだけでなく、空間に奥行きを出すことも可能です。このように、入隅は単なる角ではなく、空間デザインに様々な可能性を秘めた、大切な要素と言えるでしょう。