踏込み床:現代的な和の空間
踏込み床とは、日本の伝統家屋に見られる床の間の種類の一つです。普通の床の間とは違い、床框という段差がなく、畳と同じ高さに板が張られています。このため、格式張った床の間よりも、気楽で親しみやすい雰囲気を作り出します。「踏込み」以外に「ふんごみ床」や「ふんごみ」といった呼び名もあり、現代の住宅にも取り入れやすい床の間として人気を集めています。
踏込み床の始まりは、茶室にあります。茶道の精神である質素さを重んじる考えから、簡素な造りの踏込み床が生まれました。従来の床の間のような床框や装飾を省いた、すっきりとした見た目が特徴です。この簡素な美しさは、現代の住まいにも自然と溶け込み、和の趣を添えてくれます。
踏込み床は、飾り棚のような役割も果たします。花瓶や掛け軸、置物などを飾ることで、季節感や個性を表現できます。また、床の間のように床框がないため、掃除もしやすく、気軽に物を置ける点も魅力です。
踏込み床を設置する際には、部屋全体のバランスを考えることが大切です。和室だけでなく、洋室に設ける場合もあります。その際は、部屋の広さや他の家具との調和を考慮し、大きさや配置を決めましょう。また、床板の色や素材も、部屋の雰囲気に合わせて選ぶと、より洗練された空間を演出できます。踏込み床は、現代の住宅に和の要素を取り入れたい方にとって、おすすめの床の間です。その簡素ながらも美しい佇まいは、日々の暮らしに安らぎと落ち着きを与えてくれるでしょう。