かすがい

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建材

家を支える縁の下の力持ち:かすがい

「かすがい」とは、建築現場で木材同士を繋ぎ合わせるために使われる、金属製の重要な部品です。その形は、鉄の棒の両端を折り曲げ、先を尖らせたもので、まるでカニの爪のようです。このカニの爪に似た形から、「蟹」の異字体である「鎹」という漢字が当てられています。「かすがい」には様々な大きさがあり、小さなものでは3センチメートルほどのものから、大きなものでは18センチメートルを超えるものまであります。 「かすがい」は、家具や建具などの組み立てにも用いられますが、特に重要な役割を担っているのは建物の骨組みを繋ぎとめることです。例えば、柱と土台、あるいは梁と梁といった、建物の主要な部分をしっかりと固定することで、構造全体の強度を高め、地震や台風などの災害から家を守っています。「かすがい」を用いることで、木材同士がずれたり、外れたりするのを防ぎ、建物の耐久性を向上させる効果があります。 「かすがい」は古くから日本の建築物で用いられてきた、伝統的な接合方法の一つです。釘やネジとは異なり、「かすがい」は木材に打ち込むだけでなく、木材を挟み込むようにして固定します。これにより、木材に加わる力を分散させ、より強固な接合を実現しています。現代の建築でも、その優れた強度と耐久性から、「かすがい」は重要な役割を担い続けています。特に、日本の伝統的な木造建築においては、「かすがい」はなくてはならない存在であり、職人の技術と経験によって、一つ一つ丁寧に打ち込まれています。そのおかげで、日本の木造建築は、何百年もその美しい姿を保ち続けているのです。
構造

床束:家の土台となる重要な役割

床束とは、建物の土台と床の間をつなぐ重要な垂直の支柱です。家の床下にもぐりこんでみると、地面に置かれた束石の上に床束が立ち、その上で大引きと呼ばれる横木が水平に渡っている様子が見られます。この大引きの上に根太と呼ばれる木材が組まれ、最終的に床板が張られることで、私たちが歩く床が完成します。 床束は、家の重さを支える重要な役割を担っています。床束が支えているのは、家具や家電製品、そしてそこに住む人々の体重など、様々な荷重です。これらの荷重は、床束を通して大引き、束石、そして最終的には地面へと伝えられます。もし床束がしっかりとしていなければ、床が傾いたり、沈み込んだり、最悪の場合には家が崩壊する可能性もあります。 床束には、主に木材や鋼製のものが使用されます。木材の場合は、腐朽やシロアリの被害を受けやすいという欠点があります。一方、鋼製の床束は耐久性に優れていますが、木材に比べてコストが高くなる傾向があります。 新築の場合、建物の設計段階で適切な太さや材質、配置間隔が決められます。しかし、築年数が経つにつれて、木材の床束は湿気やシロアリの影響で劣化することがあります。そのため、リフォームの際には床下の点検を行い、床束の状態を確認することが重要です。もし床束に腐朽やシロアリの被害が見つかった場合は、補強や交換などの適切な処置を行う必要があります。 普段は目にすることがない床束ですが、家の構造を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。床束の状態を適切に保つことで、家の耐久性を維持し、安心して暮らすことができます。