あそび

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構造

家のゆとり:あそびの役割

家造りやリフォームの計画を進める中で、「あそび」という言葉を耳にすることがあるでしょう。この「あそび」とは、木材や金属、その他様々な建築材料を組み合わせる際に、あえて少しだけ隙間を空けておくことを指します。一見、無駄な空間のように感じるかもしれませんが、実は家の耐久性や快適な暮らしを守る上で、非常に大切な役割を担っています。 木材を例に考えてみましょう。木は生きていた証として、呼吸を続けています。季節の変化に伴い、空気中の水分量、つまり湿度の変化によって、木材は膨張したり縮んだりします。また、気温の変化にも影響を受けます。真夏の炎天下では膨らみ、冬の厳しい寒さの中では縮むといった具合です。もし、木材と木材をぴったりと隙間なく組み合わせてしまうと、どうなるでしょうか。膨張した際に互いに押し合い、歪みや割れが生じてしまうかもしれません。そこで、「あそび」が重要になります。あらかじめ隙間を設けておくことで、木材が膨張しても自由に伸縮できるゆとりが生まれ、歪みや割れを防ぐことができるのです。 また、「あそび」は配管や配線の通り道としても役立ちます。家の壁の中や床下には、水道管やガス管、電気の配線など、様々なものが通っています。これらの設備を後から修理したり交換したりする際に、「あそび」が確保されていると作業がしやすくなります。さらに、「あそび」があることで、空気の通り道も確保されます。これは、壁の中の湿気を逃がし、カビや腐食を防ぐ効果があります。家の健康を保つ上でも、「あそび」は重要な役割を果たしているのです。 このように、「あそび」は一見無駄な空間のように見えて、実は家の寿命を延ばし、快適な住まい環境を保つために欠かせない要素なのです。家造りやリフォームを検討する際には、「あそび」の重要性を理解し、専門家とよく相談しながら計画を進めることが大切です。