建物の強度を左右する「空き」とは
リフォームを知りたい
「リフォーム」と「家造り」でよく聞く「空き」って、どういう意味ですか?
リフォーム研究家
「空き」とは、部品と部品の間にわざと作られた隙間のことだよ。たとえば、家具を作るときに、板と板をぴったりくっつけるのではなく、少し隙間をあけておくことがあるよね。あれと同じように、家造りやリフォームでも、材料と材料の間に隙間を作るんだ。
リフォームを知りたい
どうして隙間を作る必要があるんですか?ぴったりくっつけた方が丈夫そうに思えますが…
リフォーム研究家
いい質問だね。隙間を作る理由はいくつかあるんだ。まず、材料は温度や湿度で伸び縮みするから、隙間がないと変形したり、割れたりする可能性がある。また、施工の際にどうしてもわずかな誤差が生じるから、隙間がないと上手く組み立てられないこともある。鉄筋コンクリート造の建物では、鉄筋の間に隙間がないと、コンクリートが隅々まで行き渡らず、強度が落ちてしまうんだ。
空きとは。
家づくりや改修工事で使う「空き」という言葉について説明します。「空き」とは、部品と部品のつなぎ目にわざと作られた隙間のことです。これは「逃げ」や「遊び」とも呼ばれます。部品を作ったり、取り付けたりする時のわずかなズレを吸収するため、この隙間が必要です。鉄筋コンクリートの建物では、「空き」は鉄筋と鉄筋の間の間隔を指します。この間隔が狭すぎると、コンクリートの砂利が鉄筋の間に詰まってしまったり、コンクリートが隅々まで行き渡らなかったりします。また、コンクリートの砂利とモルタルが分離してしまい、強度が落ちてしまうこともあります。適切な「空き」の大きさは、次の3つのうち一番大きい値で決まります。1つ目は、鉄筋の直径の1.5倍。2つ目は、コンクリートに混ぜる砂利の最大直径の1.25倍。3つ目は、最低限必要な25ミリメートルです。
建物の「空き」とは何か
家は、様々な材料を組み合わせて作られますが、それらの材料をぴったりと隙間なくくっつけてしまうと、様々な問題が発生します。そこで重要になるのが「空き」です。「空き」とは、材料と材料の間に意図的に設けられた隙間のことで、普段は目に触れる機会は少ないですが、家の強度や寿命に大きく関わっています。「空き」は「逃げ」や「遊び」とも呼ばれ、材料のわずかな伸び縮みや、工事中の誤差を吸収する緩衝材の役割を果たします。
例えば、木材は湿気を吸うと膨張し、乾燥すると収縮します。もし、木材を隙間なく敷き詰めてしまうと、膨張した際に木材同士が押し合い、家が歪んだり、ひび割れが生じる原因になります。「空き」を設けることで、木材が膨張しても自由に伸縮する余裕ができるため、このような問題を防ぐことができます。
また、コンクリートやタイルなどの材料も、温度変化によって伸縮します。特に、屋外の壁や床などは、直射日光や雨風など、温度変化が激しい場所にさらされるため、「空き」が不可欠です。「目地」と呼ばれるこの「空き」は、材料の伸縮を吸収するだけでなく、雨水の侵入を防ぐ役割も担っています。
さらに、「空き」は、工事中の寸法の誤差を吸収する上でも重要な役割を果たします。家の工事は、ミリ単位の精度が求められる作業ですが、どうしてもわずかな誤差が生じてしまいます。「空き」を設けることで、この誤差を吸収し、家が歪んだり、傾いたりするのを防ぐことができます。
このように、「空き」は家の安全性や耐久性を確保するために、なくてはならないものです。設計の段階から、材料の種類や設置場所、気候条件などを考慮して、「空き」の寸法が綿密に計算されています。一見、無駄な隙間のように思える「空き」ですが、家の寿命を延ばすための重要な役割を担っているのです。
種類 | 目的 | 役割・効果 |
---|---|---|
木材の空き | 木材の膨張・収縮への対応 |
|
コンクリート・タイルの目地 | 温度変化への対応、防水 |
|
工事中の空き | 寸法誤差の吸収 |
|
全般 | 家の安全性・耐久性の確保 | 家の寿命延長 |
鉄筋コンクリートにおける「空き」の重要性
鉄筋コンクリート造の建物は、鉄筋とコンクリートという異なる素材を組み合わせることで、高い強度と耐久性を実現しています。この二つの材料を結びつける上で、「空き」すなわち隙間が重要な役割を担っています。鉄筋コンクリート造において「空き」とは、鉄筋を覆うコンクリートのかぶり厚さのことです。このかぶり厚さが適切に確保されていないと、建物の安全性や寿命に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
鉄筋コンクリートは、文字通り鉄筋の周りをコンクリートがしっかりと覆うことで初めてその強さを発揮します。コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引っ張り力に強いというそれぞれの特性を組み合わせることで、地震や風などの外力に耐える頑丈な構造体となるのです。しかし、鉄筋とコンクリートの間の隙間、つまりかぶり厚さが狭すぎると、コンクリートが鉄筋の隅々まで行き渡りません。コンクリートが鉄筋全体を均一に覆うことができなければ、鉄筋とコンクリートが一体となって働くことができず、本来の強度を発揮できないのです。
さらに、コンクリートを型枠に流し込む際には、セメントペーストの中に砂利や砂などの骨材が混ざっています。かぶり厚さが不十分だと、これらの骨材が鉄筋に詰まってしまい、コンクリートが均一に固まらなくなることがあります。これにより、「ジャンカ」と呼ばれる空洞が生じ、部分的に強度が低下するだけでなく、ひび割れの原因にもなります。また、鉄筋を適切なかぶり厚さで覆うことで、鉄筋の腐食を防ぐこともできます。鉄筋が錆びてしまうと体積が膨張し、コンクリートにひび割れが生じ、建物の耐久性が低下するからです。
このように、鉄筋コンクリート造において「空き」、すなわちかぶり厚さは建物の強度や耐久性を左右する重要な要素です。だからこそ、設計段階から施工段階に至るまで、かぶり厚さの確保には細心の注意が払われ、厳密な管理が行われているのです。
かぶり厚さ | 影響 |
---|---|
適切 | 鉄筋とコンクリートが一体となり、高い強度と耐久性を実現 |
不適切(狭い) |
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適切な「空き」寸法の決め方
建物を建てる際、鉄筋をコンクリートで覆う「空き」と呼ばれる部分の寸法は、建物の強度や耐久性に大きく関わってきます。適切な「空き」寸法を決めるには、いくつかの基準を踏まえる必要があります。ここでは、鉄筋コンクリート造を例に、その決め方を見ていきましょう。
まず一つ目の基準は、使用する鉄筋の太さです。鉄筋は建物の骨組みとなる重要な部分であり、コンクリートによってしっかりと覆われている必要があります。鉄筋の直径の1.5倍を「空き」寸法とすることで、コンクリートが鉄筋全体を包み込み、十分な強度を確保できます。
二つ目の基準は、コンクリートに含まれる骨材の大きさです。骨材とは、砂利や砕石などのことで、コンクリートの強度を高めるために混ぜ込まれます。骨材が大きすぎると、鉄筋とコンクリートの間に隙間ができ、強度が低下する恐れがあります。そこで、骨材の最大径の1.25倍を「空き」寸法とすることで、骨材が鉄筋に詰まるのを防ぎ、コンクリートが鉄筋を隙間なく覆うことができます。
三つ目の基準は、最低限必要な「空き」寸法です。これは、建物の規模や用途に関わらず、必ず確保しなければならない寸法で、25mmと定められています。鉄筋が錆びるのを防ぎ、建物の寿命を長く保つために必要な値です。
これらの三つの基準の中で、最も大きい値が最終的な「空き」寸法として採用されます。例えば、鉄筋の直径が20mm、骨材の最大径が30mmの場合、それぞれの基準に基づく「空き」寸法は、30mm、37.5mm、25mmとなります。この場合、最も大きい37.5mmが「空き」寸法となります。このように、複数の基準を比較検討することで、安全で耐久性の高い建物を建てることができるのです。
基準 | 計算式 | 例 (鉄筋径20mm, 骨材最大径30mm) |
---|---|---|
鉄筋の太さ | 鉄筋の直径 × 1.5 | 20mm × 1.5 = 30mm |
骨材の大きさ | 骨材の最大径 × 1.25 | 30mm × 1.25 = 37.5mm |
最低限必要な空き寸法 | 25mm | 25mm |
最終的な空き寸法 | 上記3つの基準の中で最も大きい値 | 37.5mm |
「空き」不足による問題点
建物を建てる際、鉄筋コンクリート造では鉄筋を配置し、その周りにコンクリートを流し込んで固めます。この時、鉄筋とコンクリートの間には適切な隙間(空き)が必要です。この隙間が不足すると、様々な問題が発生し、建物の安全性や耐久性を損なう可能性があります。
まず、コンクリートが鉄筋の隅々まで行き渡らないと、空洞が生じます。コンクリートは、鉄筋と一体となって建物を支える重要な役割を担っていますが、空洞があると、その部分が弱くなり、建物の強度が低下します。これは、地震や強風などの外力に耐える能力が弱まることを意味し、建物の倒壊につながる危険性も高まります。
次に、鉄筋の腐食も大きな問題です。コンクリートは、鉄筋を外部の湿気や酸素から守る役割も果たしています。しかし、鉄筋とコンクリートの間に適切な隙間がないと、コンクリートが鉄筋全体を覆うことができず、鉄筋が外部環境にさらされてしまいます。鉄筋が湿気や酸素に触れると錆びが発生し、腐食が進んでいきます。腐食した鉄筋は強度が著しく低下し、建物の耐久性を損なうだけでなく、建物の倒壊リスクも高めます。
さらに、ひび割れも発生しやすくなります。コンクリートは、温度変化や乾燥収縮などによって体積が変化し、ひび割れが生じることがあります。適切な隙間があれば、コンクリートの体積変化を吸収し、ひび割れの発生を抑制することができますが、隙間が不足していると、コンクリート内部に大きな応力がかかり、ひび割れが大きくなりやすいです。ひび割れは、建物の美観を損なうだけでなく、雨水などが内部に浸入し、鉄筋の腐食を促進させる原因にもなります。ひび割れが大きくなると、建物の耐久性が低下し、補修が必要になる場合もあります。
このように、鉄筋とコンクリートの間の隙間は、建物の安全性や耐久性を確保するために非常に重要です。適切な隙間を確保することで、コンクリートの充填不良や鉄筋の腐食、ひび割れの発生などを防ぎ、建物の強度と耐久性を維持することができるのです。
まとめ
家は、安全で快適な暮らしの基盤となる大切なものです。家を建てる際やリフォームを行う際に、建物の強度や耐久性を高めるために重要な要素の一つに「隙間」があります。一見すると小さな隙間ですが、この隙間を適切に設けることで、建物の安全性や寿命に大きな影響を与えます。
コンクリートを流し込む際に、鉄筋と型枠の間に適切な隙間を設けることで、コンクリートが隅々までしっかりと行き渡り、建物の強度を高めることができます。隙間が狭すぎると、コンクリートが充填不足になり、強度が低下する恐れがあります。また、鉄筋が適切に覆われていないと、鉄筋が腐食しやすくなり、建物の耐久性を損なう原因となります。
外壁材と構造体の間にも適切な隙間を設ける必要があります。これは、雨水の浸入を防ぎ、建物の腐朽や劣化を防ぐためです。隙間が適切でないと、雨水が建物内部に浸入し、木材の腐朽やカビの発生などを引き起こす可能性があります。また、湿気が溜まりやすい環境はシロアリの発生にも繋がりかねません。
床下にも適切な隙間が必要です。床下の換気を良くすることで、湿気を逃がし、木材の腐朽やシロアリの発生を防ぎます。床下の湿気が高いと、建物の土台部分にまで悪影響を及ぼし、建物の耐久性を著しく低下させる可能性があります。
このように、建物の様々な場所に設けられる隙間は、建物の強度や耐久性を高める上で重要な役割を果たしています。家を建てる際やリフォームを行う際には、設計者や施工業者とよく相談し、適切な隙間の寸法を確保することが大切です。また、既存の建物についても、隙間の状態を定期的に確認し、必要に応じて補修工事などを行うことで、建物の寿命を長く保つことができます。家の安全を守るためには、目に見えない小さな隙間の役割を理解し、適切な維持管理を行うことが大切です。
場所 | 隙間の役割 | 隙間が不適切な場合のリスク |
---|---|---|
鉄筋と型枠の間 | コンクリートの充填を促し、建物の強度を高める | コンクリート充填不足による強度低下、鉄筋の腐食 |
外壁材と構造体の間 | 雨水の浸入を防ぎ、建物の腐朽や劣化を防ぐ | 雨水浸入による木材の腐朽、カビの発生、シロアリの発生 |
床下 | 床下の換気を良くし、湿気を逃がし、木材の腐朽やシロアリの発生を防ぐ | 木材の腐朽、シロアリの発生、土台の劣化 |