床に隠すドアの仕掛け:フロアヒンジ
リフォームを知りたい
先生、「フロアヒンジ」って、床に埋め込むドアクローザーのことですよね?リフォームでドアを取り替えるときに、よく聞く言葉なんですが、家造りのときにも使うんですか?
リフォーム研究家
そうだね。「フロアヒンジ」は床に埋め込むタイプのドアクローザーのことだよ。リフォームでも家造りでもどちらでも使われるよ。
リフォームを知りたい
家造りのときにも使うんですね。リフォームと家造りで何か違いはあるんですか?
リフォーム研究家
大きな違いはないけど、家造りの場合は、設計段階からドアの種類や開閉方向に合わせて、床の構造に組み込む必要があるね。リフォームの場合は、既存の床の状況に合わせてフロアヒンジを選ぶ必要があるから、設置できるかどうか、事前にきちんと確認することが大切だよ。
フロアヒンジとは。
床に埋め込むタイプのドアクローザーである『フロアヒンジ』について、家の改築や新築における役割を説明します。
ドアの動きを滑らかにする装置
扉の開閉は、毎日の暮らしの中で何度も繰り返される動作です。そのスムーズさを確保するために、床に埋め込まれた装置であるフロアヒンジが重要な役割を果たします。まるで蝶番のように、扉を支える軸となるのがこのフロアヒンジです。
フロアヒンジは、扉を自動で閉める機能も備えています。扉を開けた後、自然とゆっくりと元の位置に戻るように調整されているため、閉め忘れを防ぎ、防犯対策にも繋がります。また、勢いよく閉まることによる騒音や、壁への衝突を防ぎ、建物を守る役割も担っています。
扉の上部に設置する装置とは異なり、フロアヒンジは床に埋め込まれているため、装置の存在が目立たず、扉周りの見た目がすっきりとする点が大きな特徴です。扉のデザインを損なうことなく、空間全体の美観を向上させる効果があります。
フロアヒンジは、扉の開閉を滑らかにするだけでなく、扉の開閉角度を調整できるものもあります。例えば、お店などで扉を大きく開け放ちたい場合や、逆に、風の強い日などに扉の開き過ぎを制限したい場合に便利です。
このように、フロアヒンジは、建物の安全性や美観、そして使い勝手を向上させる、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。新築や改築の際には、設置を検討してみる価値のある装置です。
特徴 | メリット |
---|---|
床に埋め込まれた装置 | 扉周りの見た目がすっきりし、空間全体の美観を向上 |
自動で扉を閉める機能 | 閉め忘れ防止、防犯対策、騒音防止、壁への衝突防止 |
扉の開閉角度を調整可能(機種による) | お店の入り口など、状況に応じて開閉角度を調整できる |
扉の開閉を滑らかにする | 使い勝手の向上 |
フロアヒンジの仕組み
床に埋め込まれた軸を中心に扉を回転させる装置であるフロアヒンジは、大きく分けて三つの部品から成り立っています。一つ目は扉を支える本体、二つ目は回転軸となる心棒、そして三つ目はこれらを床に固定するための埋め込み箱です。
本体は、扉の開閉を滑らかにし、かつ自動で閉じる役割を担います。この自動閉鎖の機能は、本体内部に組み込まれた油圧式の装置によって実現されます。油の粘性を利用することで、開いた扉は急激に閉まることなく、ゆっくりと、そして確実に閉じていきます。この油圧装置のおかげで、扉の開閉は静かで安全なものになります。また、閉まる速度の調整も可能で、利用状況や好みに合わせて微調整することができます。
心棒は、本体と扉をつなぐ重要な部品です。この心棒が回転することで扉の開閉運動が可能になります。心棒は高強度な素材で作られており、扉の重さに耐えられるだけの頑丈さを備えています。また、錆びにくい材質を選ぶことで、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
埋め込み箱は、本体と心棒を床にしっかりと固定する土台です。建物の構造に合わせて適切な大きさと材質の埋め込み箱を選ぶことで、フロアヒンジ全体の安定性を確保します。埋め込み箱は床にしっかりと埋め込まれ、目立たないように設置されます。そのため、建物の外観を損なうことなく、フロアヒンジの機能を最大限に活かすことができます。
これらの三つの部品が精密に組み合わさることで、フロアヒンジは滑らかで安全な扉の開閉を実現します。また、床に埋め込まれているため、空間を広く使えるというメリットもあります。扉の開閉に必要なスペースを最小限に抑えることができ、限られた空間でも有効活用できます。
部品名 | 機能・特徴 |
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本体 |
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心棒 |
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埋め込み箱 |
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フロアヒンジの種類
床に埋め込んで扉を支えるフロアヒンジは、扉の開閉をスムーズにし、見た目もすっきりさせる優れた建具金物です。しかし、一口にフロアヒンジと言っても、様々な種類があり、扉の重さや大きさ、用途に合わせて適切なものを選ばなければ、扉の開閉が重くなったり、最悪の場合、扉が倒れてしまう危険性もあります。
まず、扉の重さに合わせた選定が重要です。軽い扉には中心吊りタイプのフロアヒンジで十分ですが、重量のある扉には、より強力な油圧機構を持つピボットヒンジタイプのフロアヒンジが適しています。油圧機構によって扉の開閉を補助し、スムーズな動きを実現します。特に、自動ドアのように人が触れずに開閉する扉には、この油圧機構が不可欠です。
設置場所の状況も考慮する必要があります。例えば、防火扉には、火災時に自動的に扉を閉める機能を持つ専用のフロアヒンジが必須です。火災の延焼を防ぐために重要な役割を果たすため、消防法で設置が義務付けられています。また、開き戸だけでなく、両開きの扉にも対応したフロアヒンジも存在します。ホテルや劇場のエントランスなど、大きな開口部が必要な場所に最適です。さらに、扉の開閉速度を調整できる機能を持つフロアヒンジもあります。扉が勢いよく閉まるのを防ぎ、安全性を高めることができます。
フロアヒンジを選ぶ際には、扉の仕様だけでなく、建物の構造や利用状況も考慮に入れることが大切です。専門業者に相談することで、最適なフロアヒンジを選定し、安全で快適な空間を実現できます。見た目だけでなく、機能性や安全性にも配慮したフロアヒンジ選びが、建物の価値を高めることに繋がります。
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
中心吊りタイプ | 軽い扉向け | 一般的な扉 |
ピボットヒンジタイプ | 重量のある扉向け、油圧機構でスムーズな開閉、自動ドアにも利用可能 | 重量扉、自動ドア |
防火扉用 | 火災時に自動閉鎖、消防法で設置義務付け | 防火扉 |
両開き扉用 | 大きな開口部向け | ホテル、劇場のエントランスなど |
開閉速度調整機能付き | 扉が勢いよく閉まるのを防止 | 安全性が必要な場所 |
フロアヒンジのメリット
床に埋め込むタイプのドア用金物であるフロアヒンジは、見た目にも機能的にも多くの利点を持っています。まず挙げられるのは、その美しい見た目です。ドアの上部に金具を取り付ける必要がないため、ドアとその周辺がすっきりとした印象になります。ドアクローザーのような装置が目立つことなく、ドアのデザインを邪魔しないため、洗練された雰囲気を作り出せます。特に、見た目の美しさにこだわる建物や、無駄を省いたシンプルな空間作りをしたい場合に、フロアヒンジは最適な選択肢と言えるでしょう。
静かな開閉音もフロアヒンジの大きな魅力です。油圧の力を使って扉をゆっくりと動かす仕組みになっているため、勢いよく閉まる時の「バタン」という大きな音を防ぐことができます。また、ドアが閉まる速度を調整することも可能なので、小さなお子さんや高齢の方がいる家庭でも安心して使用できます。静かな開閉音は、落ち着いた雰囲気の空間作りに役立ち、生活の質を高めることにも繋がります。
さらに、フロアヒンジは床に埋め込まれているため、空間を有効活用できるという利点もあります。ドアクローザーのようにドアの上部に金具を取り付ける必要がないため、ドア周りの空間を広く使うことができます。また、ドアを開けた際に金具が邪魔になることもなく、スムーズな通行が可能です。特に、限られた空間を最大限に活用したい場合や、車椅子などを使用する方がいる場合に、フロアヒンジは大変便利です。このように、フロアヒンジは美観、静音性、空間効率の向上など、様々なメリットを提供する優れた建具と言えるでしょう。
メリット | 詳細 |
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美しい見た目 | ドア上部に金具がないため、すっきりとした印象。ドアのデザインを邪魔しない。 |
静かな開閉音 | 油圧でゆっくりと動かすため、大きな音を防ぐ。閉まる速度の調整も可能。 |
空間の有効活用 | 床に埋め込まれているため、ドア周りの空間を広く使える。スムーズな通行が可能。 |
フロアヒンジの設置とメンテナンス
フロアヒンジは、扉を床面に埋め込まれた軸で支え、回転させることで開閉を可能にする金具です。その設置には高い精度が求められるため、専門の業者に依頼することが強く推奨されます。
まず、設置場所の床の状態を確認し、必要な強度を確保することが重要です。建物の構造によっては補強が必要な場合もあります。専門業者は、建物の構造や扉の重量、大きさ、材質などを考慮し、最適な種類のフロアヒンジを選定します。そして、ミリ単位の精度で床に穴を開け、フロアヒンジを埋め込みます。この作業を正確に行わないと、扉の開閉がスムーズにいかないばかりか、傾きやガタつきが生じ、建物の構造に悪影響を及ぼす可能性もあります。扉の開閉角度や速度も、この設置段階で調整されます。
設置後は、定期的なメンテナンスが重要です。長く快適に利用するためには、軸部分への注油は欠かせません。注油によって、金属同士の摩擦を軽減し、摩耗を防ぎます。適切な潤滑油を選び、決められた量を注油することで、フロアヒンジの寿命を延ばし、滑らかな動作を維持することができます。また、油圧機構が搭載されている場合は、油圧の調整や油漏れの点検なども必要です。定期的な点検で異常を早期に発見し、適切な処置を行うことで、大きな修理を防ぐことに繋がります。塵や埃が溜まりやすい場所でもあるため、清掃も併せて行うことで、より長く快適にフロアヒンジを使うことができます。
専門業者による適切な設置と定期的なメンテナンスは、フロアヒンジの快適な使用に欠かせない要素です。建物の美観を損なわず、スムーズな動きの扉を実現するために、専門知識を持つ業者に相談することをお勧めします。
項目 | 詳細 |
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設置 |
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メンテナンス |
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その他 |
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まとめ
床に埋め込まれた軸で扉を支えるフロアヒンジは、建物の外観と使い勝手を両立させる優れた建具です。壁に金具を取り付ける必要がないため、すっきりとした見た目を実現し、扉周りの空間を広く使うことができます。また、扉の開閉を滑らかにし、扉の重さによる負担を軽減することで、開閉時の音を抑え、静かで心地よい空間を作ります。
フロアヒンジには様々な種類があり、用途や扉の重さ、設置場所に合わせて選ぶことができます。例えば、中心吊り式は扉の重心を中心で支えることで安定した開閉を実現し、自動閉鎖装置付きは扉を自動で閉めるため、安全性と利便性を高めます。また、ガラス扉用や重量扉用など、様々な扉に対応できるよう設計されたものもあります。
フロアヒンジの設置は、建物の構造や扉の種類を考慮した正確な施工が求められるため、専門の業者に依頼することが大切です。設置費用は、機種や施工の難易度によって異なりますが、長期的に見ると、その快適さや安全性、そして建物の価値向上に貢献するため、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。また、定期的な点検やメンテナンスを行うことで、不具合を早期に発見し、より長く快適に使用することができます。例えば、軸受部分の注油や、扉の開閉速度の調整など、専門業者による定期的なメンテナンスが推奨されます。
建物の見た目を美しく見せたい、静かで快適な空間を求めている、あるいは扉周りのバリアフリー化を進めたいと考えている方は、フロアヒンジの導入を検討してみてはいかがでしょうか。その優れた機能性とデザイン性は、きっと暮らしを豊かにしてくれるでしょう。
特徴 | 詳細 |
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外観と使い勝手 | 壁に金具不要で見た目すっきり、空間広く使える |
開閉 | 滑らか、静か、扉の重さによる負担軽減 |
種類 | 中心吊り式、自動閉鎖装置付き、ガラス扉用、重量扉用など |
設置 | 専門業者への依頼が重要 |
費用 | 機種や施工難易度による、長期的に費用対効果が高い |
メンテナンス | 定期的な点検・注油・調整など、専門業者推奨 |
メリット | 美しい外観、静かで快適な空間、バリアフリー化 |