建築現場の端角:今昔物語
リフォームを知りたい
先生、「端角」ってリフォームや家造りでどんな時に使うんですか?あと、10cm程度の押し角材って具体的にどんなものですか?
リフォーム研究家
良い質問だね。端角は、主にコンクリートを流し込む型枠を固定する際に使われていたんだよ。10cm程度の小さな角材で、型枠同士を繋ぎとめたり、型枠が動かないように支えたりする役割を果たしていたんだ。今では鋼製の単管パイプが主流だけどね。
リフォームを知りたい
なるほど。今はあまり使われていないんですね。でも、リフォームで古い家を解体する際などに見かけることはありますか?
リフォーム研究家
そうだね、古い家屋の解体現場などで、以前使われていた端角が出てくることはあるかもしれないね。ただ、現在リフォームや新築で新しく端角を使うことはほとんどないと言えるよ。今は単管パイプの方が効率的で強度も高いからね。
端角とは。
「家の改修」と「家づくり」で使われる『端角(はしかく)』という言葉について説明します。『端角』とは、長さ10cmくらいの角材のことです。土木工事でコンクリートの型枠を固定するのに使われていましたが、最近は鋼鉄製のパイプが主流になっています。
端角とは
端角とは、主にコンクリートを流し込むための型枠を固定する際に用いられる、長さ10センチメートルほどの角材のことです。断面がアルファベットのエル字型をしていることから、押し角材とも呼ばれています。
かつて、建物や道路、橋などの建設現場では、コンクリートを所定の形に固めるために型枠が不可欠でした。そして、この型枠を支え、動かないように固定するために、端角が広く使われていました。木材で作られた端角は、のこぎりや鉋などで簡単に加工することができ、現場で長さを調整したり、釘を打ち込んだりといった細かな作業にも容易に対応できたため、作業をする職人にとって非常に便利な道具でした。また、入手も容易で、価格も比較的安価だったことも、多くの現場で使用されるようになった理由の一つです。
端角は、コンクリートが固まるまでの間、型枠がずれたり、変形したりするのを防ぎ、建物の強度や精度を保つという重要な役割を担っていました。コンクリートが固まった後は、端角は型枠と共に撤去されるか、そのまま構造物の中に埋め込まれることもありました。
近年では、金属製の型枠や、端角を使わない型枠工法も普及しており、木材の端角を見かける機会は少なくなってきました。しかし、小規模な工事や、特殊な形状の型枠が必要な場合など、今でも端角が活躍する場面は残っています。端角は、日本の建設現場を長らく支えてきた、小さくても重要な役割を果たした部材と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 端角(押し角材) |
材質 | 木材 |
形状 | L字型(断面) |
長さ | 約10cm |
用途 | コンクリート型枠の固定 |
利点 | 加工の容易さ、入手容易、安価 |
役割 | 型枠のずれ・変形防止、建物の強度・精度保持 |
現状 | 金属製型枠や端角不要工法の普及により使用減少、一部現役 |
端角の役割
建物を建てる際、コンクリートを流し込む型枠は非常に重要な役割を担います。コンクリートはまだ固まっていない状態では液体のため、型枠が少しでもずれてしまうと、完成した建物の形が歪んでしまったり、強度が落ちてしまうことがあるからです。そこで、型枠をしっかりと固定するために活躍するのが端角です。
端角は、型枠同士を繋ぎ合わせるための金具です。複数の型枠を組み合わせる際に、端角を使ってしっかりと固定することで、一体化した頑丈な型枠を作ることができます。また、端角は型枠を地面や支柱に固定するためにも使われます。コンクリートを流し込んだ際に、型枠が重さや圧力で変形しないように、しっかりと固定することが重要です。端角を使うことで、コンクリートの重みや圧力に耐えられる強固な型枠を組み立てることができるのです。
特に、複雑な形の建物や、高い精度が求められる工事では、端角の正確な配置と固定が欠かせません。例えば、曲線を描く壁や、細かい装飾が施された柱などを作る際には、型枠をミリ単位で調整する必要があります。熟練した職人は、長年の経験と知識に基づいて、端角の種類や配置、固定方法を判断し、高品質なコンクリート構造物を作り上げてきました。端角は、一見地味な金具ですが、建物の品質を左右する重要な役割を担っていると言えるでしょう。適切な場所に適切な方法で端角を使うことで、安全で美しい建物を建てることができるのです。
端角の役割 | 重要性 | 効果 |
---|---|---|
型枠同士を繋ぎ合わせる | コンクリートが固まる前の液体の状態では、型枠のずれが建物の歪みや強度低下につながるため、型枠をしっかりと固定することが重要。 | 一体化した頑丈な型枠を作ることができる。 |
型枠を地面や支柱に固定する | コンクリートを流し込んだ際の重さや圧力による型枠の変形を防ぐ必要がある。 | コンクリートの重みや圧力に耐えられる強固な型枠を組み立てることができる。 |
複雑な形や高精度が求められる工事で正確な配置と固定 | 曲線を描く壁や細かい装飾など、ミリ単位の調整が必要な場合、熟練した職人の経験と知識が重要。 | 高品質なコンクリート構造物を作ることができる。 |
単管パイプの登場
建築や土木工事の現場では、長い間木材が主な材料として使われてきました。しかし、木材は腐食したり、シロアリの被害を受けたりすることがあり、耐久性に課題がありました。また、木材の調達には森林伐採が必要で、環境への負荷も懸念されていました。
そんな中、時代と共に技術が進歩し、鋼鉄製の単管パイプが登場しました。この単管パイプは、工事現場に大きな変化をもたらしました。単管パイプは、鉄でできているため強度が高く、木材に比べて重いものを支えることができます。それでいて、一本一本は意外と軽く、持ち運びや組み立てがしやすいという利点があります。木材のように腐ったり虫に食われたりする心配もなく、繰り返し使えるので費用を抑えることもできます。
これらの優れた点から、単管パイプは急速に広まり、今では工事現場でなくてはならないものとなっています。コンクリートを流し込む型枠を固定するのはもちろんのこと、職人さんが作業するための足場や、一時的に建てる仮設の建物など、様々な用途で使われています。
角材と比べると、単管パイプは丸い形をしているため、力が均等にかかりやすく、変形しにくいという特徴もあります。また、あらかじめ決められた大きさで作られているため、品質が一定しており、工事の計画を立てやすく、作業もスムーズに進みます。
このように、単管パイプは強度、軽さ、耐久性、費用、そして施工のしやすさなど、多くの利点を持つ革新的な建材であり、現代の建築や土木工事になくてはならない存在となっています。
項目 | 木材 | 単管パイプ |
---|---|---|
強度 | 低い | 高い |
耐久性 | 低い(腐食、シロアリ被害) | 高い(腐食、シロアリ被害なし) |
費用 | 高い | 低い(繰り返し使用可能) |
施工性 | 低い | 高い(軽量、組み立て簡単) |
環境負荷 | 高い(森林伐採) | 低い |
形状 | 角材 | 丸型(力均等、変形しにくい) |
品質 | 一定ではない | 一定 |
用途 | 従来の建築、土木 | 型枠固定、足場、仮設建物など |
端角の現在
角材を斜めに切り落とした木材である端角は、かつて建築や土木工事の現場で型枠を支える控えとして広く使われていました。鉄パイプを組み合わせた単管足場が普及するにつれて、端角の需要は大きく減少し、今では大規模な工事現場でその姿を見ることは少なくなりました。
しかし、端角が完全に姿を消したわけではありません。小規模な工事や、特殊な形状の型枠が必要な場合など、端角ならではの利点が活きる場面は今でも残されています。例えば、単管足場では対応が難しい複雑な形状の型枠を支える必要がある場合、現場で容易に加工できる端角は非常に便利です。また、木材であるがゆえに、現場での微調整が容易であることも大きな利点です。少し削ったり、継ぎ足したりといった細かい調整は、鉄製の単管パイプでは容易ではありません。
さらに、端角は入手が容易で、コストも比較的安価です。ホームセンターなどで手軽に購入できるため、小規模な工事では費用を抑える上で役立ちます。木材は適度な強度と柔軟性を兼ね備えており、多少の荷重変動にも対応できます。使い終わった後は、燃料として処分することも可能です。
長年培われてきた端角の利用技術は、職人の経験と知恵と共に、現代の建築・土木工事にも脈々と受け継がれています。単管足場が主流となった今でも、端角は補助的な役割を担う貴重な存在であり続けているのです。
項目 | 内容 |
---|---|
用途 | 建築・土木工事の型枠を支える控え |
現状 | 単管足場の普及により需要減少、大規模工事では減少も小規模工事や特殊形状の型枠で活用 |
利点 | 複雑な形状の型枠に対応可能、現場での加工・微調整が容易、入手容易、安価、適度な強度と柔軟性、処分容易 |
その他 | 職人の経験と知恵と共に利用技術が継承、単管足場が主流でも補助的な役割 |
今後の展望
建築や土木工事の現場は、これからますます、効率よく、楽に、そして安全に工事を進めることが求められます。それに伴い、コンクリートの型を作る型枠工事の技術も進化していくでしょう。
例えば、立体物を印刷できる技術を使った型枠作りや、機械による自動作業といった技術革新が進んでいます。角材や板材といった昔から使われている材料は、これらの新しい技術と共に、それぞれの持ち味を生かした形で使われていくでしょう。
また、環境問題への意識が高まる中で、木という繰り返し使える資源である角材や板材の価値が見直される可能性もあります。地球環境に配慮した社会を実現するために、角材や板材といった昔から使われている材料の使い方についても、改めて考えていく必要があります。
建物を支える骨組みや壁を作るといった従来の役割に加えて、例えば、型枠として繰り返し使える丈夫な板材を開発したり、工場で作った型枠の一部として角材を組み合わせたりするなど、新しい活用方法も考えられます。
未来の建築や土木工事において、角材や板材がどのような役割を担っていくのか、材料そのものの改良や新しい使い方など、様々な視点から注目していく必要があります。
カテゴリー | 内容 |
---|---|
建設現場のニーズ | 効率化、省力化、安全性向上 |
型枠工事の技術革新 | 3Dプリンターによる型枠作成、機械による自動化 |
従来材料の活用 | 角材や板材:新しい技術との併用、持ち味を生かした活用 |
環境への配慮 | 木材の再利用、地球環境に配慮した材料活用 |
角材・板材の新しい役割 | 繰り返し使える型枠用板材の開発、工場製型枠の一部としての角材活用 |
今後の展望 | 材料の改良、新しい使用方法の模索 |