みんなにやさしい家づくり:ユニバーサルデザイン
リフォームを知りたい
先生、「ユニバーサルデザイン」ってよく聞くんですけど、バリアフリーと何が違うんですか?
リフォーム研究家
いい質問ですね。バリアフリーは、主に高齢者や障害のある方が暮らしやすいように、段差をなくしたり手すりをつけたりといった、物理的なバリアを取り除くことを目指しています。ユニバーサルデザインは、もっと広く、年齢や性別、国籍などに関係なく、誰もが使いやすいようにデザインする考え方です。
リフォームを知りたい
なるほど。じゃあ、誰でも使いやすいように設計されているってことですね。具体的にはどんなものがありますか?
リフォーム研究家
そうですね。例えば、押すタイプのドアではなく、軽く触れるだけで開く自動ドアは、車椅子の方だけでなく、荷物を持っている人にも便利です。他にも、色の見分けにくい人にも配慮した、色のコントラストがはっきりした表示などもユニバーサルデザインの例です。つまり、特定の人だけでなく、すべての人が快適に利用できることを目指しているのです。
ユニバーサルデザインとは。
『ユニバーサルデザイン』とは、年齢や性別、体格、国籍など、人によって異なる様々な特徴や違いを乗り越えて、誰もが使いやすく暮らしやすいように、環境や建物、製品などを設計する考え方です。歳をとった方や障がいのある方が生活する上で邪魔になる、物理的な物や気持ちの面での障害を取り除こうとする『バリアフリーデザイン』の考え方を、すべての人にとって使いやすいように広げ、発展させたものです。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、障がいの有無、国籍など、様々な違いを持つ人々みんなが、特別な配慮なしに利用できることを目指した、環境や建物、製品などの設計思想です。
たとえば、車いすを使う方のために、建物の入り口に傾斜路を設置することは、ユニバーサルデザインの代表的な例の一つです。しかし、ユニバーサルデザインは、それだけにとどまりません。小さなお子さんからお年寄りまで、誰もが安全に使えるように、段差をなくしたり、手すりを取り付けたりすることも、ユニバーサルデザインの重要な要素です。また、視覚に障がいのある方のために、点字ブロックや音声案内を整備することも含まれます。
つまり、ユニバーサルデザインとは、特定の誰かを対象とするのではなく、あらゆる人が快適に利用できることを目指す設計思想なのです。近年、高齢化が進む社会や、様々な暮らし方が広がる中で、ユニバーサルデザインの重要性はますます高まっています。
住まいづくりにおいても、ユニバーサルデザインを取り入れることで、家族みんなが安全で快適に暮らせるだけでなく、将来の生活の変化にも柔軟に対応できる家を実現できます。たとえば、廊下や浴室に手すりを取り付ける、段差をなくす、引き戸を採用する、といった工夫は、高齢になった時や、けがをした時にも、安心して生活できる住環境をつくる上で大変有効です。また、将来、家族構成の変化があった場合にも、間取りを簡単に変更できるような設計にしておくことで、長く快適に暮らせる家となります。ユニバーサルデザインは、今だけでなく、将来の安心も保障してくれる、大切な考え方なのです。
ユニバーサルデザインの定義 | 具体的な例 | 目的 | メリット |
---|---|---|---|
年齢、性別、障がいの有無、国籍など、様々な違いを持つ人々みんなが、特別な配慮なしに利用できることを目指した、環境や建物、製品などの設計思想 |
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あらゆる人が快適に利用できること |
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家造りへの応用
誰もが暮らしやすい家を実現するためには、家の設計段階から、ユニバーサルデザインの考え方を積極的に取り入れることが重要です。これは、特定の誰かを対象とするのではなく、あらゆる年齢や体格、能力の人にとって使いやすい家をつくるという考え方です。
まず、玄関アプローチは、住まいの顔となるだけでなく、安全に出入りするための大切な場所です。段差をなくし、緩やかな傾斜のスロープを設置することで、車椅子の方や高齢の方、ベビーカーを押す方でもスムーズに出入りできます。段差につまずいて転倒する危険性を減らし、安全性を高めることができます。また、玄関扉は、軽い力で開閉できる引き戸タイプを選ぶと、高齢者や子供にも使いやすくなります。
家の中においても、廊下や階段には手すりを設置することで、歩行時の転倒を予防できます。手すりは、高齢者だけでなく、足腰が弱い方や小さなお子さんにとっても、安全な移動を支える大切な設備です。
浴室は、転倒事故が起こりやすい場所です。そのため、床材には滑りにくい素材を選び、浴槽の出入りを補助する手すりも設置することで、安全に入浴できる環境を整えましょう。高齢者や障害のある方にとって、安全で快適な入浴は、生活の質を高める上で重要な要素です。
キッチンは、家族みんなが使う場所です。キッチンの高さや収納の位置を調整することで、様々な身長の人が使いやすいように配慮できます。たとえば、シンクの高さを調整することで、腰への負担を軽減できますし、収納を低い位置に設置することで、車椅子の方でも手が届きやすくなります。
このように、ユニバーサルデザインの考え方を住まいの様々な場所に適用することで、家族全員が快適で安全に暮らせる家を実現できます。将来の生活の変化にも柔軟に対応できる、長く安心して住み続けられる家となるでしょう。
場所 | ユニバーサルデザインの工夫 | メリット |
---|---|---|
玄関アプローチ | ・段差をなくし、緩やかなスロープを設置 ・軽い力で開閉できる引き戸タイプの玄関扉 |
・車椅子の方、高齢の方、ベビーカーを押す方がスムーズに出入りできる ・段差につまずく危険性を減らし安全性を高める ・高齢者や子供にも使いやすい |
廊下・階段 | 手すりの設置 | ・歩行時の転倒予防 ・高齢者、足腰が弱い方、小さなお子さんの安全な移動を支える |
浴室 | ・滑りにくい床材 ・浴槽の出入りを補助する手すり |
・転倒事故の防止 ・高齢者や障害のある方の安全で快適な入浴、生活の質の向上 |
キッチン | ・キッチンの高さや収納の位置を調整 ・低い位置の収納 |
・様々な身長の人が使いやすい ・腰への負担軽減 ・車椅子の方でも手が届きやすい |
バリアフリーとの違い
「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」、どちらも暮らしやすい環境を作るための言葉ですが、その考え方には違いがあります。バリアフリーとは、生活の中で不便を感じる人のために、すでに存在する物理的な障壁を取り除くことを意味します。例えば、階段にスロープを付けたり、段差をなくしたり、手すりを設置したりといった工夫が挙げられます。高齢の方や体の不自由な方が、安全に、そして快適に生活できるよう、後から不便な箇所を改善していくことがバリアフリーの主な目的です。
一方、ユニバーサルデザインは、はじめからあらゆる人が利用しやすいように設計することを目指します。年齢や障害の有無、国籍や文化の違いなどに関わらず、すべての人が等しく利用できることを前提としています。つまり、ユニバーサルデザインは、後から何かを付け加えるのではなく、最初からバリアを作らないように計画するのです。例えば、誰でも使いやすいように押しやすく引きやすいドアノブを採用したり、色の見分けがつきやすいように表示板を工夫したりすることが挙げられます。
具体的に考えてみましょう。段差のある場所にスロープを設置するのはバリアフリーの考え方です。しかし、ユニバーサルデザインでは、そもそも段差を作らず、最初から緩やかな傾斜にすることを考えます。このように、バリアフリーは「不便を解消する」ものであり、ユニバーサルデザインは「不便を生み出さない」ものと言えるでしょう。どちらも暮らしやすい社会を作る上で重要な考え方ですが、そのアプローチは異なっているのです。ユニバーサルデザインは、より多くの人にとって使いやすい環境を作る、より包括的な考え方と言えるでしょう。
項目 | バリアフリー | ユニバーサルデザイン |
---|---|---|
定義 | 生活の中で不便を感じる人のために、すでに存在する物理的な障壁を取り除く。後から不便な箇所を改善していく。 | はじめからあらゆる人が利用しやすいように設計する。最初からバリアを作らないように計画する。 |
目的 | 高齢の方や体の不自由な方が、安全に、そして快適に生活できるよう環境を整える。 | 年齢や障害の有無、国籍や文化の違いなどに関わらず、すべての人が等しく利用できる環境を作る。 |
例 | 階段にスロープを付けたり、段差をなくしたり、手すりを設置したり | 誰でも使いやすいドアノブを採用、色の見分けがつきやすい表示板 |
考え方 | 不便を解消するもの | 不便を生み出さないもの |
将来を見据えた住まいづくり
人生はまるで川の流れのように、常に変化し続けます。結婚や出産といった喜びに満ちた出来事、子どもの成長、そして親との同居など、家族の構成や暮らしぶりは時とともに移り変わっていきます。
そんな変化の波にも柔軟に対応できる住まい、それが将来を見据えた住まいづくりの目指すところです。
ユニバーサルデザインを取り入れることで、家はあらゆる変化を受け入れる器となります。例えば、子どもが小さいうちは、安全に走り回れる遊び場としていた部屋を、将来は親の寝室へと様変わりさせることができます。また、将来、もしも車椅子が必要になったとしても、廊下や浴室にゆとりある空間をあらかじめ設けておけば、大きな工事をすることなく、そのまま安心して生活を続けることができます。
段差のない玄関は、小さなお子さんからお年寄りまで、家族みんなが安全に出入りできます。また、手すりの設置は、階段の上り下りを楽にするだけでなく、転倒防止にも役立ちます。
さらに、将来間仕切り壁を入れることを想定した設計も有効です。子どもが成長し、個室が必要になった際に、簡単に部屋を仕切ることができます。また、収納スペースを多く設けることも、将来を見据えた住まいづくりのポイントです。家族が増えたり、趣味のものが増えたりしても、ゆとりある収納があれば、家はいつもすっきり片付きます。
ユニバーサルデザインは、ただ単に現在の暮らしを快適にするだけではありません。将来の暮らしの変化にも対応できる、持続可能な住まいを実現するための、大切な考え方なのです。今の快適さだけでなく、10年後、20年後も安心して暮らせる家。それが、将来を見据えた住まいづくりの真髄です。
将来を見据えた住まいづくりのポイント | 具体的な例 | メリット |
---|---|---|
ユニバーサルデザインの採用 | 子ども部屋→親の寝室、ゆとりある廊下や浴室 | 変化への対応、将来の安心 |
段差のない玄関 | – | 安全な出入り |
手すりの設置 | – | 階段の昇降補助、転倒防止 |
将来の間仕切り壁を想定した設計 | – | 個室への変更容易 |
収納スペースの確保 | – | ゆとりある生活 |
快適さと安全性の両立
住まいを考える上で、快適さと安全性はどちらも欠かせない要素です。特に、家族みんなが安心して暮らせる家を目指すなら、この二つのバランスをうまくとることが大切です。最近よく耳にする「みんなに優しい設計」は、まさに快適さと安全性を両立させるための考え方です。
例えば、階段に手すりを設置する場合を考えてみましょう。手すりは、高齢者や小さなお子さんにとって、転倒を防ぐための大切な安全対策です。しかし、ただ設置すれば良いというわけではありません。住まいの雰囲気に合うデザインを選ぶことで、手すりは安全性を確保するだけでなく、インテリアの一部として空間に溶け込み、美しさを添えることができます。木材の手すりは温かみを、金属製の手すりは洗練された印象を与えます。
また、照明も重要な役割を果たします。夜間の廊下や階段は、暗いと転倒の危険があります。適切な場所に適切な明るさの照明を設置することで、安全な移動を確保できます。さらに、間接照明などを用いて、空間の雰囲気づくりにも工夫を凝らすことができます。温かみのある光で家族団らんの時間を演出したり、落ち着いた光でリラックスできる空間を作ったりすることも可能です。
このように、「みんなに優しい設計」は、機能性だけを重視するのではなく、デザイン性や快適性にも配慮することで、暮らしの質を高めます。高齢者や障害のある方だけでなく、子どもから大人まで、誰もが安心して快適に暮らせる住まいは、家族みんなを笑顔にし、日々の暮らしを豊かにしてくれるでしょう。
「みんなに優しい設計」を取り入れることで、安全で快適なだけでなく、美しい住まいを実現できます。これは、すべての人が暮らしやすい、より良い社会の実現にも繋がっていくはずです。
要素 | 具体例 | 効果 |
---|---|---|
安全性 | 階段の手すり設置 | 転倒防止 |
デザイン性 | 手すりの素材選び (木材、金属) | 空間に合わせた雰囲気作り |
安全性 | 適切な照明設置 | 夜間の転倒防止 |
快適性 | 間接照明の活用 | 雰囲気作り、リラックス空間 |