バリアフリーで快適な住まい
リフォームを知りたい
先生、「バリアフリー」ってよく聞くんですけど、家造りやリフォームで具体的にどんなことをするんですか?
リフォーム研究家
いい質問だね。「バリアフリー」とは、家の中の段差をなくしたり、滑りにくい床にしたり、車椅子でも動きやすいように広くしたりすることだよ。 つまり、誰でも安全で快適に暮らせるように、家の中の障害となるものを取り除くことなんだ。
リフォームを知りたい
なるほど。段差をなくす以外にもいろいろあるんですね。例えば、どんな場所をバリアフリーにすればいいんでしょうか?
リフォーム研究家
そうだね。玄関の上がり框をなくしたり、廊下や浴室の床を滑りにくくしたりする他に、トイレや浴室に手すりをつける、寝室や居間に段差をなくすなど、生活する上で不便な場所を重点的にバリアフリーにすると良いよ。高齢者や障害を持つ家族がいる場合は、特に大切だね。
バリアフリーとは。
高齢の方や体の不自由な方が暮らしやすいように、家の中の邪魔になるものを取り除き、安全で心地よく過ごせるように工夫することを『バリアフリー』といいます。たとえば、玄関や部屋の入り口の段差をなくしたり、お風呂場や廊下に滑りにくい床材を使ったりします。また、車椅子で移動できる十分な広さを確保したり、必要な場所に手すりを取り付けたりして、スムーズに移動できるよう配慮することも含まれます。
暮らしの障壁を取り除く
『暮らしの障壁を取り除く』とは、高齢の方や体の不自由な方が、生活する上で邪魔になるものを取り除き、安全で心地よい暮らしを実現する取り組みのことです。住まいにおけるバリアフリー化は、誰もが暮らしやすい環境を作る上でとても大切です。
具体的には、床の段差をなくしたり、階段やトイレ、浴室などに手すりを設置するといった物理的な改修がまず挙げられます。玄関の上がり框を低くしたり、スロープを設置する、あるいは浴室の床を滑りにくい素材にするなども効果的です。
段差や手すりといった物理的な改修だけでなく、照明や色彩計画など、感覚的な面への配慮も重要です。年齢を重ねると、視力や聴力が低下したり、足腰が弱くなることがあります。照明を明るくしたり、適切な場所に設置することで、転倒などの事故を防ぐことができます。また、壁や床の色にコントラストをつけることで、空間を認識しやすくなり、移動がスムーズになります。
障害の種類や程度は人それぞれです。そのため、バリアフリー化を考える際には、住む人の状態に合わせた細かい対応が必要です。車椅子を使う方にとっては、廊下の幅やドアの開口部の広さが重要になりますし、視覚に障害のある方にとっては、点字ブロックや音声案内が役立ちます。
さらに、将来の変化も見据え、柔軟に対応できる工夫も大切です。今は必要なくても、将来車椅子が必要になる場合に備えて、廊下や doorways の幅を広く設計しておく、あるいは将来介護が必要になった際に備え、寝室の近くにトイレや浴室を設けるなど、将来の生活変化に対応できるような計画を立てておくことで、長く安心して住み続けられる家を実現できます。家族構成の変化や、加齢による身体機能の低下など、将来起こりうる変化を想定し、必要に応じてリフォームしやすい間取りにしておくことも、暮らしの障壁を取り除く上で重要なポイントです。
暮らしの障壁を取り除くための対策 | 具体的な内容 |
---|---|
物理的な改修 | 床の段差解消、階段・トイレ・浴室への手すり設置、玄関の上がり框の低減・スロープ設置、浴室の床材変更(滑りにくい素材) |
感覚的な面への配慮 | 照明の明るさ・設置場所調整、壁や床の色へのコントラスト、視覚障害者向け点字ブロック、音声案内 |
個人差への対応 | 障害の種類・程度に合わせた対応、車椅子利用者向け廊下幅・ドア開口部調整 |
将来の変化への対応 | 将来の車椅子利用を想定した設計、介護時の利便性向上(寝室近くにトイレ・浴室)、リフォームしやすい間取り |
段差解消で安全な移動を
住まいの中で、つまづきや転倒の危険性が最も高い場所の一つが階段です。特に、加齢に伴い足腰が弱ってくると、階段の上り下りは大きな負担となり、転倒の危険も高まります。このような危険を回避し、安全な暮らしを送るためには、住まいの中の段差を解消することが効果的です。段差をなくすことで、つまづきや転倒のリスクを大幅に減らし、安全な移動を確保することができます。
段差解消が必要な場所は、まず玄関の上がり框です。上がり框は、家に入る際に必ずまたぐ必要があるため、高齢者にとっては大きな障害となることがあります。框をなくし、緩やかなスロープを設置することで、スムーズな出入りが可能になります。また、各部屋の出入り口にある段差も解消することで、家の中を安全に移動できるようになります。つまずきやすい小さな段差でも、解消することで安全性は格段に向上します。
浴室も段差解消が重要な場所です。洗い場と脱衣所の段差は、濡れた足でまたぐ際に滑りやすく、転倒の危険性が高い場所です。段差をなくし、洗い場と脱衣所をフラットにすることで、高齢者や障害のある方が安全に入浴できるようになります。また、浴室の出入り口にも手すりを設置することで、さらに安全性を高めることができます。
スロープを設置する際には、勾配を緩やかにすることが大切です。急な勾配はかえって危険なため、できるだけ緩やかな勾配にすることで、安全に移動することができます。また、スロープの表面には滑りにくい素材を使用することで、雨の日や濡れた時でも安全性を確保できます。さらに、スロープの両側に手すりを設置することで、より安全な移動をサポートすることができます。段差を解消し、手すりを設置することで、住まいの安全性は格段に向上し、安心して暮らせる住まいを実現できます。
場所 | 段差解消方法 | 追加対策 |
---|---|---|
玄関 | 上がり框をなくし、緩やかなスロープを設置 | |
各部屋の出入り口 | 段差を解消 | |
浴室 | 洗い場と脱衣所をフラットにする | 出入り口に手すり設置 |
スロープ全般 | 緩やかな勾配にする | 滑りにくい素材を使用、両側に手すり設置 |
滑りにくい床材で安心を
住まいの安全性を高める上で、床材選びは大切な要素です。特に、加齢に伴い、転倒による骨折のリスクが高まるため、滑りにくい床材を選ぶことは、安心で快適な暮らしを送る上で欠かせません。
水を使う場所である浴室や洗面所、トイレは、濡れた床で滑りやすく、特に注意が必要です。水はけが良く、表面に細かい凹凸のある床材を選ぶことで、水膜による滑りを抑え、転倒のリスクを減らすことができます。また、浴室用の床材には、素足で触れても冷たく感じにくい素材を選ぶと、冬場でも快適に過ごすことができます。
廊下や居間といった場所も、つまずいたり滑ったりすることによる転倒事故が起こりやすい場所です。そのため、これらの場所にも滑りにくい床材を使用することが大切です。小さなお子さんや高齢の方がいる家庭では、より安全性を重視し、クッション性のある床材を選ぶのも良いでしょう。衝撃を吸収してくれるため、万が一転倒した場合でも、怪我の程度を軽減することができます。
床材を選ぶ際には、安全性だけでなく、清掃のしやすさも考慮に入れる必要があります。日々のお掃除の手間を減らすためには、汚れがつきにくく、落としやすい素材を選ぶことが重要です。また、掃除機の使いやすさも確認しておきましょう。
近年は、滑りにくさと清掃のしやすさを両立した床材の種類も豊富になっています。実際にショールームなどで実物に触れて、滑りにくさや質感を確かめることをおすすめします。専門家に相談することで、家族構成や生活様式に合った最適な床材を選ぶことができます。
場所 | 床材の特性 | 理由 |
---|---|---|
浴室、洗面所、トイレ | 水はけが良い、表面に細かい凹凸がある、素足で触れても冷たく感じにくい | 水で滑りやすい場所なので、水膜による滑りを抑え、転倒リスクを減らすため。冬場でも快適に過ごすため。 |
廊下、居間 | 滑りにくい、クッション性がある | つまずいたり滑ったりすることによる転倒事故が起こりやすい場所なので、転倒リスクを減らすため。万が一転倒した場合の怪我の程度を軽減するため。 |
全般 | 汚れがつきにくく落としやすい、掃除機の使いやすさ | 日々のお掃除の手間を減らすため。 |
手すりの設置で移動を支援
手すりは、加齢による体力の衰えや、障害によって移動に不安を感じる方にとって、大きな助けとなる設備です。階段の上り下り、廊下の歩行、トイレでの立ち座り、浴室での動作など、日常生活の様々な場面で、手すりは確かな支えとなり、転倒のリスクを軽減します。
手すりの種類は多岐にわたり、材質や形状も様々です。握る力が弱くなった高齢者の方には、握りやすく疲れにくい、太めの手すりがおすすめです。また、水回りである浴室やトイレには、濡れても滑りにくい素材の手すりを選ぶことが重要です。木材、金属、樹脂など、それぞれの材質には特徴がありますので、設置場所の環境や利用者の状況に合わせて適切なものを選びましょう。
手すりの設置位置も、安全で快適な利用のために重要な要素です。適切な高さに設置することで、無理なく自然な姿勢で掴まることができます。階段には、段差に合わせて連続して設置することで、昇降時の負担を軽減し、安全性を高めます。廊下には、歩行を補助するように水平方向に設置し、休憩が必要な場合は掴まって休めるようにします。トイレには、便器の近くに設置することで、立ち座りをスムーズに行えるようにします。浴室には、浴槽の出入りや、洗い場での移動を支えるように設置します。
手すりの設置は、専門の業者に依頼することをおすすめします。利用者の身体状況や住宅の構造を考慮し、最適な種類、形状、材質、そして設置位置を提案してくれます。手すりの選び方や設置場所について迷う場合は、ケアマネージャーや理学療法士などの専門家に相談することで、より適切なアドバイスを受けることができます。適切に設置された手すりは、住まいの安全性を高め、自立した生活を長く続けるための支えとなります。家族みんなが安心して暮らせる住まいづくりのために、手すりの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
手すりのメリット | 種類・材質 | 設置場所・位置 | 設置方法 |
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車椅子利用のための空間設計
住まいのリフォームや新築で、車椅子を使う方の暮らしやすさを考えることはとても大切です。快適で安全な生活を送るためには、動線を意識した空間作りが重要になります。
まず、廊下や doorways は車椅子がスムーズに通れるよう、十分な幅を確保しましょう。一般的に、車椅子の全幅は約70cm、全長は約120cmですので、廊下幅は最低でも90cm以上、 doorways は80cm以上が望ましいです。さらに、車椅子で回転するためのスペースも必要です。直径150cm程度の円を描ける空間があれば、方向転換も楽に行えます。
トイレや浴室も、車椅子で安全に使えるよう工夫が必要です。十分な広さを確保するのはもちろん、手すりの設置も重要です。便器の横と後ろ、そして浴室の洗い場や浴槽の出入り口に手すりがあると、立ち座りや移動の際に安心です。また、段差をなくすことも転倒防止につながります。
キッチンは、車椅子で作業しやすい高さに調整しましょう。シンクや調理台の高さを調整することで、座ったままでも無理なく作業ができます。また、コンロ下の収納をなくし、膝が入るスペースを作ることで、より作業しやすくなります。
これらの空間設計は、利用する方の身体の状態や生活の仕方に合わせて、細かく調整することが重要です。専門家と一緒に、最適な計画を立てることをお勧めします。今は車椅子を使っていない方でも、将来使う可能性も考えて、ゆとりのある設計にしておくと安心です。バリアフリー化は、高齢になってからの生活の質を向上させるためにも有効です。快適で安全な住まいを実現するために、早めの準備と計画を立てていきましょう。
場所 | ポイント | 寸法 |
---|---|---|
廊下 | 車椅子がスムーズに通れる幅を確保 | 幅90cm以上 |
doorways | 車椅子がスムーズに通れる幅を確保 | 80cm以上 |
廊下/居室 | 車椅子の回転スペース | 直径150cm |
トイレ/浴室 | 十分な広さを確保、手すりの設置、段差をなくす | – |
キッチン | 車椅子で作業しやすい高さに調整、コンロ下の収納スペース確保 | – |
全体 | 利用者の身体状況や生活様式に合わせた設計 | – |