車いす対応キッチンのすべて

車いす対応キッチンのすべて

リフォームを知りたい

先生、「車いす対応キッチン」って、車いすの人が使いやすいように、シンクの下に膝が入る空間があるとか、高さを変えられるとかっていうことですよね?他に何かありますか?

リフォーム研究家

そうだね、よく理解しているね。他に大切なのは、作業スペースの広さだよ。車いすで回転したり、材料や調理器具を置くスペースも必要になるからね。あと、コンロの高さや位置、収納の配置も重要だよ。

リフォームを知りたい

なるほど。スペースも大事なんですね。コンロの位置も低くしたりするんですか?

リフォーム研究家

うん。車いすに座ったまま安全に手が届く高さにする必要があるね。最近は、IHコンロで火を使わないものもあるから、それも安全面で良い選択肢かもしれないね。

車いす対応キッチンとは。

「家の改修」と「新しい家を作る」ことに関する言葉で、『車いすの人が使いやすい台所』というものがあります。これは、流し台の下に膝が入るスペースが作ってあったり、作業台のの高さを変えられたりすることで、車いすの人が座ったまま台所で作業ができるように工夫された台所の設備のことです。

車いす対応キッチンの概要

車いす対応キッチンの概要

車いす対応の台所とは、車いすを使う人が座ったまま、安全にそして気持ちよく料理や後片付けなどの台所仕事をできるように作られた台所のことを言います。これまでの台所では、車いすを使う人が作業するには色々な困ったことがありました。例えば、流し台や調理台の高さがあっていないために作業がしにくい、流し台の下に収納がないために必要なものが取り出しにくいといった問題です。車いす対応の台所は、これらの問題を解決し、誰でも使いやすい、みんなのための設計という考え方に基づいて作られています。

具体的には、流し台の下に膝が入る空間を確保したり、作業台のの高さを調節できるようにしたり、引き出し式の収納にしたりすることで、車いすを使う人の使い勝手を良くしています。また、調理器具やお皿の収納場所も工夫されていて、スムーズな作業を助けます

車いす対応の台所には、大きく分けて対面式、壁付け式、アイランド式の3つの種類があります。対面式は、リビングやダイニングにいる家族とコミュニケーションを取りながら料理ができるのが特徴です。壁付け式は、限られた空間に設置しやすいのがメリットです。アイランド式は、開放的な空間を演出できるのが魅力です。それぞれのメリットとデメリットを考慮し、自分のライフスタイルに合ったタイプを選ぶことが大切です。

最近は、お年寄りや体の不自由な人だけでなく、体の丈夫な人にとっても使いやすい台所として注目を集めており、新しい家を建てたり、台所を新しくしたりする時に選ばれることが多くなっています。家族みんなが快適に使える台所として、車いす対応の台所は今後ますます普及していくことでしょう。

項目 詳細
車いす対応台所の定義 車いすの人が座ったまま安全かつ快適に作業できる台所
従来の台所の問題点 流し台や調理台の高さ、収納の不便さ
車いす対応台所の工夫点 流し台下の膝スペース確保、高さ調節可能な作業台、引き出し式収納、調理器具やお皿の収納工夫
種類 対面式、壁付け式、アイランド式
対面式の特徴 リビング・ダイニングとのコミュニケーション促進
壁付け式の特徴 省スペース
アイランド式の特徴 開放的な空間演出
最近の傾向 高齢者・障害者だけでなく、健常者にも使いやすい台所として人気

キッチンの高さ調整

キッチンの高さ調整

台所の使い勝手を大きく左右する高さ調整は、特に車椅子を使う人にとって、とても大切です。快適に作業できる高さでなければ、料理をする喜びも半減してしまいます。

車椅子を使う人が無理なく作業できる高さは、床から調理台までの高さが70cmから85cmくらいと言われています。しかし、使う人の体格によって最適な高さは変わるため、自分に合った高さをしっかり確認することが大切です。

台所の高さを調整する方法には、大きく分けて電動式と手動式があります。電動式はボタン一つで高さを変えられるので、手軽で便利です。家族で使う場合も、それぞれに合った高さに簡単に調整できます。ただ、電動式は手動式に比べて費用がかかるのが難点です。

手動式は、費用を抑えたい場合に適しています。ハンドルを回したり、レバーを操作したりして高さを調整します。電動式のように手軽ではありませんが、構造がシンプルなため壊れにくいという利点もあります。

自分に合った高さ調整の方法を選ぶには、使う人の体格やどれくらい台所を使うか、そして予算を総合的に考えることが重要です。使いやすい台所を実現するために、それぞれの長所と短所を理解し、最適な選択をしましょう。

高さ調整方法 メリット デメリット その他
電動式 手軽で便利
ボタン一つで高さ変更可能
家族で使いやすい
費用が高い
手動式 費用が安い
壊れにくい
手軽ではない
ハンドル操作などが必要

車椅子利用者の調理台高さ:70cm〜85cm(個人差あり)

最適な高さ調整方法:体格、使用頻度、予算を考慮

シンク周りの工夫

シンク周りの工夫

流し台周りの工夫は、車いすを使う人が使いやすい台所を作る上で特に大切です。どのような点に気を配れば、誰でも快適に使える流し台を作れるのか、詳しく見ていきましょう。

まず、流し台の下に膝が入るだけの空間を確保することが重要です。十分な空間があれば、車いすに座ったままでも流し台に近づきやすく、作業がしやすくなります。流し台の前に座るときに、膝がぶつかってしまうと、体に負担がかかってしまいますし、作業効率も悪くなってしまいます。

次に、流し台の深さも重要なポイントです。浅すぎると、水を使う際に水がはねてしまい、床が濡れてしまいます。逆に深すぎると、底に手が届きにくく、洗い物が大変になります。そのため、車いすを使う人の腕の長さなども考慮して、適切な深さを選ぶ必要があります

水道の蛇口にも工夫が必要です。片手で操作しやすい単水栓や、触れるだけで水が出る自動水栓は、車いすを使う人にとって非常に便利です。また、蛇口の先が伸びるタイプであれば、流し台の隅々まで楽に洗うことができ、使い勝手が良いでしょう。最近では、手で操作しなくても、センサーに反応して自動で水が出る蛇口も普及しています。このような蛇口を選ぶことで、より快適に水仕事を行うことができます。

これらの工夫を施すことで、車いすを使う人は楽な姿勢で洗い物や料理などの作業を行うことができます。快適な台所環境を作ることは、生活の質を向上させる上で非常に重要です。家族みんなが使いやすい台所を実現するために、流し台周りの工夫をぜひ取り入れてみてください。

項目 工夫の内容 目的
流し台の下 膝が入る空間を確保 車いすでの接近と作業をしやすくする
流し台の深さ 適切な深さ 水はね防止と底への手の届きやすさの両立
水道の蛇口 単水栓、自動水栓、蛇口の先が伸びるタイプ 片手操作、楽な操作、隅々まで洗いやすい

収納の工夫

収納の工夫

車いすを使う人が使いやすい台所を作るには、しまう場所にも知恵が必要です。使う人の動きを邪魔しない、楽に使える場所に物をしまえるようにすることで、スムーズに作業ができます。

まず、引き出し式のしまう場所は、奥にある物でも簡単に取り出せるので、車いすの人にとってとても便利です。棚の奥に手が届かない、物を取るのに苦労するといったことがなくなります。

次に、棚の高さは、使う人の体格に合わせて変えられるようにするのが理想的です。高すぎる棚は届きにくく、低すぎる棚はかがむのが大変です。調整できる棚があれば、一人ひとりに合った高さに設定でき、より快適に台所を使えます。

限られた場所を最大限に活用するために、様々な道具を使うのも良い方法です。例えば、仕切り板を使えば、引き出しの中を細かく区切ることができ、物が混ざってしまうのを防ぎます。バスケットを使えば、細々とした物をまとめて収納でき、見た目もすっきりします。また、吊り戸棚の下に設置できる、簡単に引き下げられる棚も便利です。調味料やよく使う道具などを収納しておけば、必要なときにすぐに取り出せます。

これらの工夫を取り入れることで、しまう場所の使い勝手が格段に向上し、車いすの人もストレスなく、安全に台所仕事を楽しめます。使う人の立場に合わせた設計が、快適な暮らしを実現する鍵となります。

工夫点 メリット
引き出し式収納 奥の物も簡単に取り出せる
高さ調整可能な棚 体格に合わせた高さ設定が可能
仕切り板、バスケット、引き下げ棚などの活用 限られた空間の有効活用、整理整頓、必要なものがすぐ取り出せる

調理機器の選択

調理機器の選択

調理場を作る上で、調理機器選びは大切な要素です。特に、車いすを使う方が快適に料理できるよう、安全性と使いやすさを両立した機器選びが重要になります。

まず、加熱調理器には火を使わない電磁調理器がお勧めです。電磁調理器は炎が出ないため、やけどや火事の心配が少なく、安全性が高いと言えるでしょう。また、平らな形状なので、鍋やフライパンを滑らせて移動させるのも容易です。

次に、焼き網やオーブンを選ぶ際には、設置の高さが重要です。車いすに座ったままでも無理なく操作できる高さに設置することで、安全に調理できます。オーブンの扉は、開閉しやすい引き戸式を選ぶと便利です。

換気扇は、調理中の煙や臭いを排出するために欠かせません。静音設計のものを選べば、調理中の騒音を抑えられ、快適な調理環境を作れます。また、換気扇のスイッチも、車いすから手が届きやすい場所に設置することが重要です。リモコン式であれば、より操作しやすくなります。

これらの調理機器を選ぶ際には、安全装置の有無も確認しましょう。例えば、誤ってスイッチに触れても作動しないように、安全ロック機能が付いていると安心です。また、温度調節機能が細かく設定できるかも重要なポイントです。温度設定がしやすければ、焦げ付きや加熱不足を防ぎ、安全に調理できます。さらに、お手入れのしやすさも考慮しましょう。表面が平らで汚れが落としやすい素材や、部品の取り外しが簡単な構造だと、清掃の手間を省けます。

調理機器 ポイント 詳細
加熱調理器 安全性、使いやすさ 火を使わない電磁調理器がお勧め。平らな形状で鍋の移動が容易。
焼き網・オーブン 設置高さ、扉の開閉 車いすから操作できる高さに設置。引き戸式だと便利。
換気扇 静音性、スイッチの位置 静音設計で騒音を抑制。スイッチは手が届きやすい位置、またはリモコン式。
全般 安全装置、温度調節、お手入れ 安全ロック機能、細かい温度調節機能、清掃しやすい素材・構造。

安全性への配慮

安全性への配慮

車いすを使う方が安心して料理を楽しめるキッチンを作るには、安全性を何よりも重視しなければなりません。安全なキッチンを作るための工夫をいくつかご紹介します。

まず、段差をなくすことが重要です。床全体をフラットにすることで、車いすの移動がスムーズになり、つまずいたり転倒したりする危険を減らすことができます。また、床材は滑りにくい素材を選びましょう。水滴などがこぼれても滑りにくい素材は、安全性を高める上で欠かせません。

次に、火災やガス漏れなどの緊急事態に備えることも大切です。火災報知器とガス漏れ警報器は、必ず設置しましょう。警報器は早期発見につながり、被害を最小限に抑えることができます。設置場所は、煙やガスが感知しやすい場所に設置し、定期的に作動確認を行いましょう。また、緊急時に助けを呼ぶための手段も確保しておきましょう。例えば、固定電話の子機や携帯電話を、車いすに座ったままでも手が届く場所に設置しておくと安心です。さらに、緊急通報装置の設置も検討すると良いでしょう。ボタン一つで通報できるため、迅速な対応が可能です。

その他にも、キッチンの設備にも気を配りましょう。コンロは、立ち上がらずに操作できるものがおすすめです。手が届きやすい場所に設置することも重要です。シンクは、車いすで近づきやすい高さで、十分な作業スペースを確保しましょう。収納は、手が届きやすい位置に設置し、使う頻度の高いものは、より取り出しやすい場所に配置することで、安全で快適なキッチンを実現できます。

これらの工夫を施すことで、車いすを使う方が安全かつ快適にキッチンを使えるようになります。快適で使いやすいキッチンは、毎日の暮らしを豊かにし、生活の質の向上につながります。

安全性への配慮