総掘り基礎:徹底解説!

総掘り基礎:徹底解説!

リフォームを知りたい

先生、「総掘り」ってどういう意味ですか?リフォームとか家造りの話で出てきたんですが…

リフォーム研究家

ああ、総掘りね。建物の基礎工事などで使う言葉だね。地面を掘る範囲全体を、同じ深さで掘ることを指すんだよ。

リフォームを知りたい

全体を同じ深さで…? 部分的に掘ったりはしないんですか?

リフォーム研究家

もちろん、場所によって必要な深さは違うから、全体を掘った後に部分的に深く掘ることもあるよ。でも、まずは全体を同じ深さまで掘って、地面の状態を確認するのが「総掘り」なんだ。

総掘りとは。

建物全体を囲む土を全部掘ること。基礎工事などで、地面を隅から隅まで掘ることを指します。

総掘り基礎とは

総掘り基礎とは

総掘り基礎とは、建物を支えるための基礎を築く際に用いられる工法の一つです。この工法の特徴は、建物の形に合わせて地面全体を掘り下げる点にあります。建物の荷重を地盤全体に均等に分散させることで、建物の安定性を高めることを目的としています。

具体的な手順としては、まず建物の配置に合わせて地面を掘削します。掘削の深さは、地盤の強さや建物の大きさ、建物の形などによって異なります。建物の重さをしっかりと支えられるだけの強さを確保するために、地盤調査に基づいて適切な深さを決定することが重要です。地面を掘り下げた後は、底面に鉄筋を配置し、コンクリートを流し込んで底盤を築きます。この底盤が建物の土台となり、上部の構造物を支える役割を果たします。

総掘り基礎は、比較的簡素な構造であるため、施工が容易で工期も短縮できるという利点があります。また、様々な地盤条件に対応できるため、住宅から比較的小規模な建物まで幅広く採用されています。特に、不同沈下(建物の基礎の一部だけが沈下する現象)のリスクを低減できるという点は大きなメリットです。不同沈下は、建物の傾斜やひび割れの原因となるため、それを防ぐことは建物の安全性を確保する上で非常に重要です。

ただし、総掘り基礎を採用する際には、地盤の性質や建物の規模、形状などを綿密に調査し、適切な設計と施工を行う必要があります。掘削の深さや底盤の厚さ、鉄筋の配置などを誤ると、建物の安定性が損なわれる可能性があります。そのため、専門の業者に依頼し、地盤調査に基づいた綿密な設計と施工を行うことが不可欠です。

工法名 総掘り基礎
特徴 建物の形に合わせて地面全体を掘り下げ、底盤を築く工法
目的 建物の荷重を地盤全体に均等に分散させ、建物の安定性を高める
手順
  1. 建物の配置に合わせて地面を掘削
  2. 底面に鉄筋を配置
  3. コンクリートを流し込んで底盤を築く
メリット
  • 比較的簡素な構造で施工が容易
  • 工期短縮が可能
  • 様々な地盤条件に対応可能
  • 不同沈下(建物の基礎の一部だけが沈下する現象)のリスクを低減できる
デメリット/注意点
  • 地盤の性質や建物の規模、形状などを綿密に調査し、適切な設計と施工を行う必要がある
  • 掘削の深さや底盤の厚さ、鉄筋の配置などを誤ると、建物の安定性が損なわれる可能性がある
  • 専門の業者に依頼し、地盤調査に基づいた綿密な設計と施工を行うことが不可欠

総掘り基礎のメリット

総掘り基礎のメリット

総掘り基礎は、建物の土台となる基礎を支えるための工法の一つで、地面を掘削してコンクリートを流し込むというシンプルな方法です。この工法には様々な利点があり、これから家を建てる方やリフォームを検討している方にとって、知っておくと役立つ情報です。まず、施工が比較的簡単であることが挙げられます。他の基礎工法と比べて、複雑な手順や特殊な機械を使う必要がないため、工期を短縮でき、費用を抑えることにもつながります。例えば、布基礎のように鉄筋を組んだり、型枠を建てたりする手間がかからないため、職人さんの作業時間も短くて済みます。

次に、不同沈下の危険性を低減できることも大きな利点です。不同沈下とは、地盤の一部が不均一に沈んでしまう現象で、建物に亀裂が生じたり、傾いたりする原因となります。総掘り基礎は、底盤一面にコンクリートを流し込むため、建物の重さを地盤全体に分散させることができます。これにより、地盤の一部に荷重が集中することを防ぎ、不同沈下の発生リスクを抑えることができるのです。

さらに、地盤改良との相性が良いこともメリットです。軟弱地盤の場合、そのままでは建物を支えることが難しいため、地盤改良工事が必要になります。総掘り基礎は、地盤改良と組み合わせることで、より強固な地盤をつくり、建物の安定性を高めることができます。地盤改良の方法には様々な種類がありますが、総掘り基礎は多くの工法と併用することが可能です。

このように、総掘り基礎は、施工のしやすさ、不同沈下への強さ、地盤改良との組み合わせやすさなど、多くの利点を持つ優れた工法です。様々な地盤条件や建物の種類に対応できる柔軟性も魅力の一つです。家を建てる際やリフォームの際には、基礎工法の選択肢として、総掘り基礎を検討してみる価値は大いにあります。

メリット 詳細
施工が簡単 複雑な手順や特殊な機械が不要
工期短縮・費用削減
布基礎と比較して、鉄筋を組む、型枠を建てる手間がない
不同沈下の危険性低減 底盤一面にコンクリートを流し込むことで、建物の重さを地盤全体に分散
地盤の一部に荷重が集中するのを防ぎ、不同沈下の発生リスクを抑える
地盤改良との相性◎ 軟弱地盤に有効
総掘り基礎と地盤改良の組み合わせで強固な地盤をつくり、建物の安定性を高める
多くの地盤改良工法と併用可能

総掘り基礎のデメリット

総掘り基礎のデメリット

総掘り基礎は、建物の荷重を地盤全体に分散させることで、不同沈下を防ぎ、建物の安定性を高める優れた基礎工法です。しかし、メリットばかりではなく、いくつかのデメリットも存在します。まず、総掘り基礎は、ベタ基礎に比べて掘削量が多くなるため、残土処理にかかる費用が大きくなる傾向があります。特に、都市部では残土処理場の確保が難しく、遠方の処理場まで運搬する必要が生じるため、運搬費用が嵩み、全体の費用増加につながることがあります。

また、地下水位が高い地域では、掘削中に水が湧き出て、作業が困難になる場合があります。地下水への対策として、排水設備の設置や井戸掘りが必要になることがあり、これらは追加費用へとつながります。場合によっては、工期が延びる可能性も考慮しなければなりません。

さらに、隣接する建物との距離が近い場合、掘削工事の影響で隣地の地盤が緩み、崩落する危険性があります。そのため、事前の地盤調査を綿密に行い、適切な土留め壁を設置するなど、周辺環境への配慮が欠かせません。隣家とのトラブルを避けるためにも、工事前に近隣住民への説明を行い、理解と協力を得ることが重要です。

このように、総掘り基礎には費用面や施工面でのデメリットが存在するため、建物の規模や地盤の状態、周辺環境などを総合的に考慮し、他の基礎工法との比較検討が必要です。専門家とよく相談し、最適な基礎工法を選択することが、建物の安全性を確保し、安心して暮らせる住まいを実現するために不可欠です。

メリット デメリット
建物の荷重を地盤全体に分散させることで、不同沈下を防ぎ、建物の安定性を高める。
  • 掘削量が多く、残土処理費用が大きくなる。
  • 地下水位が高い地域では、掘削中に水が湧き出て、作業が困難になる場合がある。
  • 隣接する建物との距離が近い場合、掘削工事の影響で隣地の地盤が緩み、崩落する危険性がある。
  • 近隣住民への説明を行い、理解と協力を得ることが重要
  • 建物の規模や地盤の状態、周辺環境などを総合的に考慮し、他の基礎工法との比較検討が必要

総掘り基礎と他の基礎との比較

総掘り基礎と他の基礎との比較

家を建てる際に、まず重要なのが基礎工事です。基礎は建物を支える土台となるため、建物の耐久性や耐震性を左右する重要な部分です。基礎には様々な種類があり、代表的なものとして布基礎、ベタ基礎、杭基礎、そして今回ご紹介する総掘り基礎が挙げられます。

総掘り基礎は、ベタ基礎の一種です。ベタ基礎とは、建物の底面積全体に鉄筋コンクリートの盤を敷設する工法です。建物の荷重を面全体で地盤に伝えるため、荷重分散性に優れ、不同沈下(地面の沈み方が場所によって異なる現象)のリスクを軽減できます。

一方、布基礎は建物の壁の下にのみ連続した基礎を設ける工法です。ベタ基礎に比べてコストを抑えることができますが、荷重の分散性が劣るため、軟弱地盤では不同沈下の可能性があります。

杭基礎は、地盤の支持層が深い場合に用いられる工法で、支持層まで杭を打ち込み、建物を支えます。軟弱地盤や地震の多い地域で有効ですが、コストは高額になりがちです。

総掘り基礎は、ベタ基礎の中でも、地盤を掘削して底盤を築造する工法です。地面を掘り下げることで、地盤の支持力を高め、より安定した基礎を作ることができます。特に、比較的良好な地盤で、建物の規模が小さい場合に適しています。また、地下室や半地下室を設ける場合にも有効な工法です。

このように、それぞれの基礎工法にはメリットとデメリットがあります。地盤の状況や建物の規模、予算、そして建物の用途などを考慮し、最適な基礎工法を選ぶことが大切です。専門家とよく相談し、安全で安心な家づくりを進めていきましょう。

基礎の種類 説明 メリット デメリット 適する状況
布基礎 建物の壁の下にのみ連続した基礎を設ける コストが低い 荷重分散性が劣る、軟弱地盤では不同沈下の可能性
ベタ基礎 建物の底面積全体に鉄筋コンクリートの盤を敷設 荷重分散性に優れ、不同沈下リスク軽減
杭基礎 地盤の支持層が深い場合に杭を打ち込む 軟弱地盤や地震の多い地域で有効 コストが高い 軟弱地盤、地震が多い地域
総掘り基礎(ベタ基礎の一種) 地盤を掘削して底盤を築造するベタ基礎 地盤の支持力を高め、安定した基礎を作れる 比較的地盤が良好、建物規模が小さい、地下室/半地下室を設ける場合

総掘り基礎の施工手順

総掘り基礎の施工手順

家は、しっかりとした基礎の上に建てることが大切です。その中でも、総掘り基礎は、比較的簡易な構造でありながら、建物を支える重要な役割を担っています。これから、総掘り基礎の施工手順を詳しく見ていきましょう。

まず初めに、建物の設計図に基づいて、正確な位置に地面を掘削します。掘削の深さは、事前に実施した地盤調査の結果を踏まえ、建物の規模や地耐力などを考慮して決定します。この時、掘削底面の水平性を保つことが、基礎の安定性を確保する上で非常に重要になります。

次に、掘削した地面の底に砕石を敷き詰めます。これは、地盤を固め、建物の重さによる沈下を防ぐための大切な作業です。砕石を敷き詰めたら、ランマーや振動ローラーなどの機械を使ってしっかりと転圧し、地盤を安定させます。

地盤が固まったら、地面から上がってくる湿気を防ぐために、防湿シートを敷設します。このシートは、建物の耐久性を高める上で重要な役割を果たします。その上に、鉄筋を設計図通りに配置します。鉄筋は、コンクリートの強度を高め、基礎のひび割れを防ぐ役割を担っています。鉄筋を組み終えたら、コンクリートを型枠内に流し込みます。この時、コンクリートが均一に広がるように、バイブレーターを使って丁寧に締め固める作業を行います。

コンクリートが十分に固まったら、型枠を取り外します。そして、基礎の周囲に土を埋め戻します。埋め戻しの材料は、水はけの良いものを使用し、層ごとに突き固めながら慎重に埋め戻すことが大切です。これは、地盤の不均一な沈下を防ぎ、建物の安定性を確保する上で重要な作業です。

最後に、基礎の立ち上がり部分を構築します。立ち上がり部分は、建物の荷重を基礎全体に伝える重要な役割を担っています。こうして、建物をしっかりと支える総掘り基礎が完成します。各工程において、正確な作業と入念な品質管理を行うことで、建物の安全性を確保することができます。

総掘り基礎の施工手順

まとめ

まとめ

家は一生に一度の大きな買い物とも言われます。だからこそ、安全で快適な暮らしを送るためには、家の土台となる基礎をしっかりと理解することが大切です。数ある基礎工法の中でも、総掘り基礎は、様々な地盤に適応できるという点で、多くの住宅で採用されています。

総掘り基礎は、地盤をある深さまで掘り下げ、底面にコンクリートを流し込んで作る基礎です。建物の荷重を底板全体で支えるため、不同沈下のリスクが低いことが大きな利点です。また、施工方法が比較的単純で、工期も短縮できる傾向があります。そのため、安定した地盤はもちろんのこと、軟弱地盤にも対応できるという汎用性の高さを持っています。

しかし、良い点ばかりではありません。総掘り基礎は、掘削する土の量が多くなるため、どうしても残土処理費用がかさんでしまいます。また、地下水位が高い土地では、掘削中に水が湧き出てしまう可能性があります。このような場合は、適切な排水対策や止水工事が必要となり、追加の費用や工期が発生することも考えられます。

家づくりにおいて基礎工事は、建物の強度や耐久性を左右する重要な要素です。総掘り基礎は信頼性の高い工法ですが、地盤条件や建物の規模、そして予算によって最適な基礎工法は異なります。べた基礎、布基礎など他の基礎工法とのメリット・デメリットを比較検討し、土地の特性に合った工法を選ぶことが大切です。専門家である建築士や工務店に相談し、地盤調査の結果を踏まえながら、安全で快適な住まいづくりを進めていきましょう。

項目 内容
概要 地盤を掘り下げ、底面にコンクリートを流し込む基礎工法
メリット
  • 様々な地盤に適応可能
  • 不同沈下のリスクが低い
  • 施工方法が比較的単純
  • 工期が短縮できる傾向がある
デメリット
  • 残土処理費用がかさむ
  • 地下水位が高い土地では、掘削中に水が湧き出てしまう可能性がある
  • 排水対策や止水工事が必要な場合、追加費用や工期が発生する
その他
  • 他の基礎工法(べた基礎、布基礎など)と比較検討が必要
  • 専門家(建築士、工務店など)に相談することが重要
  • 地盤調査の結果を踏まえる